基礎知識
年末調整を訂正する方法は? 提出後のやり直し(再年調)が必要なケースまとめ

年末調整をおこなった後に、やり直しが必要となるケースがあります。
- 年末調整の間違いは、一般的に年末調整がおこなわれる12月以降に判明することが多い
- 年末調整の訂正期限が過ぎた場合は、確定申告で訂正をおこなう
- 年末調整のやり直しに伴うトラブルを理解し、対処法を準備する必要がある
年末調整の訂正に関しては、上記のポイントを意識すると理解が深まります。
以下で詳しく解説します。
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目次
年末調整のやり直しが必要な場合
年末調整の申告内容は、その年の最後の給与を支払う日の状況で判断します。
しかし、年末調整が終わってからその年の12月末日までに、申告した内容と事実が異なっている、変更がある場合、年末調整のやり直しをしなければなりません。
- 扶養親族等の人数の増減があった
- 配偶者控除・配偶者特別控除の適用となった配偶者の年収が変わった
- 年末調整の後に保険料などを支払った
- 控除が適用となる申告を忘れていた
扶養親族等の人数の増減は、結婚して配偶者控除や配偶者特別控除が適用となった場合や、子どもが扶養の対象外となった場合などが該当します。
配偶者の年収が年末調整で申告していた金額よりも高いと、配偶者控除や配偶者特別控除の適用範囲を超えてしまう場合があります。
年末調整の後に、生命保険料や社会保険料など保険料控除の対象となる保険料を支払った場合も、やり直しが必要です。
ほかにも、年末調整で申告する内容を忘れていた場合なども、再調整の対象となります。
年末調整の間違いや申告漏れは、年末調整がおこなわれる12月に年末調整書類を提出した後に判明することがほとんどです。
年末調整(時期別)の訂正・修正方法
年末調整が終わってから記載した内容の間違いに気がついた、不備があった、実際の申告内容と異なっていた場合、年末調整の訂正・修正が必要です。
年末調整の訂正・修正をおこなう時期によって、訂正・修正方法が異なるため注意しましょう。
翌年1月31日以前・源泉徴収票発行前の場合
年末調整のやり直しは、従業員に源泉徴収票を発行する前である翌年1月31日までが期限です。
年末調整後であっても、期限内であれば社内でやり直しをおこなうことができます。
- 計算ミスの場合、申告書の該当箇所に二重線を引いておき、二重線に重なるように訂正印を押し、再計算
- 扶養親族等の増減や保険料の申告漏れは、従業員から正しい内容を聞き取り、添付書類を確認してから修正
翌年2月1日以降・源泉徴収票発行後の場合
年末調整の訂正期限である翌年1月31日を過ぎた場合、あるいは既に従業員への源泉徴収票発行後に間違いが発覚した場合、社内でやり直しをすることはできません。
その場合は、やり直しが必要な従業員が自ら確定申告をおこなうことで、再調整できます。
翌年1月31日以前・源泉徴収票発行前であれば、社内で年末調整のやり直しができる
翌年2月1日以降・源泉徴収票発行後の場合、従業員が自ら確定申告で訂正・修正しなければならない
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過年度の年末調整が間違っていた場合、還付・追徴の扱い
過年度の年末調整の誤りが発覚した場合も、年末調整のやり直しをおこないます。
- 支払った税額が少なく追加徴収される場合
- 支払った税額が多く還付される場合
追加徴収の場合は、会社が税務署に従業員の不足税額を支払うため、追加徴収分を従業員へ請求します。
一方、支払った税額が多かった場合、従業員が自分で税務署に還付請求をしてもらわなければなりません。
- 追加徴収する場合は会社から従業員へ不足税額を請求し、税務署に支払う
- 還付する場合は従業員自らが税務署へ請求する
年末調整の訂正での想定トラブルと対処法
年末調整の訂正では、以下のトラブルが想定されます。
- 従業員ごとの年末調整内容の確認が負担となり、担当者の作業工数が増加する
- 計算ミスや申告漏れによる年末調整のやり直し対応が必要となる
- 年末調整のやり直しをしなかった場合、延滞税や加算税が課される
- 年末調整の計算ミスがないように、二重・三重のチェックをする
- 申告漏れがないように、従業員に何度も注意喚起をおこなう
- 計算ミス防止や効率化に向けた電子申請システムを導入する
年末調整の訂正:まとめ
年末調整後に誤りが発覚した場合や変更があった場合は、一度計算した内容を再度やり直す必要があり、人事労務担当者にとても負担がかかります。
- 翌年1月31日まで:源泉徴収票未発行の場合、申告書の訂正・修正
- 翌年2月以降:源泉徴収票発行済の場合、従業員自身に確定申告をおこなってもらう
- 過年度分の追加徴収分は会社が従業員に請求し、還付分は従業員が税務署に請求
「オフィスステーション 年末調整」を使えば、従業員全員の年末調整の状況が自動で数値化されるため、収集・確認状況も一目でわかります。
年末調整業務にかかる時間を100時間も削減することができ、業務を大幅に効率化することが可能です。
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