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年末調整の還付金が多すぎる?還付金が増えるパターン、減るパターンとは

年末調整の還付金が多すぎる?還付金が増える・減るパターンとは

監修者:労務SEARCH 編集部
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年末になると「今年は年末調整の還付金をいくらもらえるんだろう? 」という話題が出ることがあります。経理まで問い合わせてくるような、せっかちな方もいるかもしれません。

しかし還付は、必ず発生するわけではありません。従業員に余計な期待を持たせないためにも、安易に還付金が発生するという発言は控えましょう。

この記事では年末調整の還付の時期だけではなく、還付金が発生しやすいケース・しにくいケースについても解説します。

年末調整の還付金を支払う時期は?

年末調整とは、その年の給与所得に対して生命保険や地震保険の支払いや配偶者、子供の状況などに応じたさまざまな控除を反映させて、従業員本人に代わって会社がその年の税金を計算する制度です。確定申告の簡易版といったイメージを持っていただければ良いでしょう。

年末調整をすると還付や追加徴収がある

年末調整で税金を計算をし、従業員のその年の所得税がそれまでに預かった源泉所得税の合計額より少なければ還付しなければいけませんし、多ければ追加で徴収しなければいけません。

法律上は、年内最後の給与支払日現在の状況によって年末調整をすることになっています。

年末調整の還付金の支払いを1月にする企業も

したがって年内最後の給与支払日に、年末調整と同時に還付金を支払う企業が多いのですが、中小零細企業を中心に1月に入ってから年末調整の手続きをおこなうケースも見受けられます。

なぜなら年内最後の給与支払日以降に状況が変わった場合、年末調整をもう一度おこない、還付金の金額が変わってしまった場合には清算をしなければならないと決まっているからです。

特に現在では共働き世帯が多いので、1月にならないと配偶者の所得が確定しないケースも多くなっています。そのため”年末調整”という名称ではありますが、従業員から特に苦情がなければ1月に入ってから手続きをおこなうことをおすすめします。

1月におこなう場合は提出期限に注意

ただし、年末調整の結果は1月31日までに税務署に届け出なければいけませんので、期限に遅れないように気をつけましょう。

年末調整の還付金が多くてしきれない場合はどうする?

年末調整では、従業員のその年の所得税がそれまでに預かった源泉所得税の合計額より少なければ、差額を還付しなければいけません。

しかし還付する金額が多すぎて、それまでに会社が預かってまだ税務署に納付していない源泉所得税だけでは還付しきれない場合も考えられます。

今後の源泉徴収する金額と相殺するか年末調整過納額の還付請求する

その場合、源泉所得税の全額でも還付しきれなかった金額は、その後に給与を支払うときに源泉徴収するべき金額と相殺することで還付します。

ただし、あまりに金額が大きいためこの方法では2月末までに還付しきれない場合には、税務署に支払った源泉所得税を還付してもらう「源泉所得税及び復興特別所得税の年末調整過納額の還付請求」という手続きをする必要があります。

この手続きをおこなう機会はあまり多くありませんが、税務署に指示された書類を添付する必要があるなど、少し手間がかかります。手続きをするにあたっては、税務署と相談しながら進めるとよいでしょう。

年末調整の還付が増える可能性が高いケース

無職だったが年の途中で就職した

それまで無職だった方がその年の途中で就職した場合、前年までと比較して年末調整の還付が多くなる可能性があります。

なぜなら毎月給与から源泉徴収されている金額は、その給与を1年間もらい続けることを前提にして計算されているからです。同じ理由で、

  • 年の途中で残業が減った
  • 基本給が減額された

場合にも年末調整の還付が増える可能性があるでしょう。

配偶者控除や扶養控除の対象となった

  • 従業員の配偶者がパートを辞めた
  • 子供が16歳になった
  • 従業員が生活の面倒をみている両親が70歳になった

場合には、配偶者控除や扶養控除の適用を受けることができますので、年末調整の還付が増えることが多くなります。なお、以前は子供が16歳未満でも控除を受けることができましたが、現在は「子ども手当」との調整で廃止されています。

未払いの国民年金保険料や国民健康保険料を支払った

さらに、従業員が未納だった国民年金や国民健康保険を支払った場合には、社会保険料控除を受けることができますから、年末調整の還付が増えるケースが多いでしょう。

このように年末調整は従業員自身のものだけではなく、従業員の配偶者や子供など、家族の国民年金や国民健康保険も含まれますので注意しましょう。

年末調整の還付が減る可能性が高いケース

賞与や給与が増えた

  • 年内に大幅な昇給をした
  • 多額の賞与を受け取った

場合には、還付を受け取ることができないどころか追加徴収となる可能性もあります

なお「前月の給与の金額の10倍を超える賞与を支払う場合」には、賞与から源泉徴収する金額に特例があり、多額の源泉徴収をおこなう必要があることに注意しましょう。
社会保険料等を差し引いた金額

その場合、多額の還付金が発生することが多く、年明けに「年末調整過納額の還付請求」をおこなう必要が生じることが多いです。業績連動型賞与などを採用する場合には、事前にこれらの制度を確認しておくことをおすすめします。

配偶者控除や扶養控除の対象外となった

それまで働いていなかった従業員の配偶者や子供が仕事を始めて、 合計所得金額が38万円を超えたとき(アルバイトの場合は年収103万円を超えたとき)にも、配偶者控除や扶養控除を受けることができなくなり、還付が減る可能性があります。

まとめ

年末調整の還付の時期はその名称のとおり年末におこなうと思い込んでいる方もいらっしゃるかもしれませんが、必ずしもそうというわけではありません。

1月になってから年末調整をおこなった方がよい 場合も多いのですが、年内最後の給与支払日に還付金を受け取れるものだと思っている従業員の方と、思わぬトラブルになってしまうことがあります。

事前に年末調整の還付の時期がいつごろになりそうか、通知しておいた方がいいでしょう。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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