勤怠
0558|【勤怠】「1年単位の変形労働」設定方法
1年単位の変形労働制の設定手順をご説明します。推奨設定または手動設定が可能です。
目次
前提
- 起算日 : 4月1日
- 対象期間 : 4月1日から3月31日までの1年間
- 特定期間 : 7月1日から8月31日
- 年間休日日数 : 87日(年間労働日数:278日)
- 1日の所定労働時間 : 7時間30分(年間所定労働時間:2085時間)
- 法定労働時間の総枠 : 2085時間42分(暦日数365日)
- 日の残業時間 : 所定労働時間が8時間を超える日はその時間を超えた時間、所定労働時間が8時間以下なら、
8時間を超えた時間が残業(上限10時間)
- 週の残業時間 : 所定労働時間が40時間を超える週はその時間を超えた時間、所定労働時間が40時間以下の週
は、40時間を超えた時間が残業(上限52時間)
- 割増残業 : 60時間を超過した残業を割増残業とする(法定休日労働時間は除く)
- 年の残業時間 : 法定労働時間の総枠を超えた時間が残業
- 法定外休日労働 : 基準時間に含める
- 法定休日労働 : 基準時間に含めず、法定休日労働として扱う
- 有休取得 : 有休取得日は勤務したものとして扱うが、残業集計時は実働としては扱わない
準備物
1.「1年単位の変形労働時間制に関する協定届」をお手元にご準備ください。
2.各月の休日日数と労働時間が分かる会社カレンダーもご用意いただくと、設定がスムーズです。
1年単位の変形労働時間制に関する協定届
事前設定
変形労働設定機能の有効化
1.ホーム画面「設定」内[その他]>[オプション]をクリックします。
2.「勤怠管理設定」カテゴリの「変形労働機能」で「使用する」を選択し、[登録]をクリックします。
割増残業集計機能の有効化
ホーム画面「設定」内[その他]>[オプション]>「勤怠管理設定」カテゴリ内「割増残業集計機能」を「1段階の割増残業を使用する」に設定します。
補足
1ヶ月60時間を超える法定時間外労働に対しては、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があるため、割増残業集計機能を有効化します。詳細はこちらをご参照ください。
参照 : 月60時間を超える法定時間外労働に対して|厚生労働省
【設定方法】推奨設定
推奨設定を利用して登録する方法を説明します。
ホーム画面「設定」内[従業員]>[雇用区分設定]> 該当雇用区分の[編集]をクリックし、以下の項目を設定して登録します。
1. 基本情報
雇用区分コード、雇用区分名
任意のコードを入力し、「1年単位の変形労働時間制」など、任意の名称を入力します。
締め日
基本情報カテゴリの「締め日」にて、締め日を選択します。
「締め日」は、「1年単位の変形労働時間制に関する協定届」の「対象期間及び特定期間(起算日)」の「起算日」をもとに設定します。
例)起算日が「1日」始まりになっていたら締め日は「末日」を、「16日」始まりになっていたら締め日は「15日」を設定してください。
日の契約労働時間([詳細]タブ)
所定労働時間を入力します。各月の労働時間の算出に利用します。
補足
日の契約労働時間は、「時間単位休暇」や「休業機能:産後パパ育休制度(出生時育児休業)」の利用でも必要です。詳細はこちらをご確認ください。
週の締め日([詳細]タブ)
会社の締め日にあわせて設定します。
注意点
1年単位の変形労働時間制では「起算日」を週の始まりとし、週の締め日を決定します。そのため、ここで設定した締め日は無視されます。
例)起算日が「令和3年4月1日(木)」の場合
⇒「木曜日」が週の始まりとなり、週の締め日は「水曜日」で集計されます。
2. 働き方
働き方カテゴリの「労働時間」にて、「変形労働制」を選択、「1年単位の変形労働」を選択します。
「開始月」「月別労働時間」などが表示されますので、それぞれ以下のように設定します。
開始月
「開始月」は、「1年単位の変形労働時間制に関する協定届」の「対象期間及び特定期間(起算日)」をもとに設定します。
月別労働時間設定
1.「月別労働時間」内の[月別労働時間設定]をクリックします。
※このボタンは、「開始月」を設定するとクリックできるようになります。
2.「月別労働時間設定」画面に遷移するので、各月の「休日日数」と「労働時間」を入力します。
補足
前述の「日の契約労働時間」を入力しておくと、休日日数を入力するだけで労働時間が自動計算されます。労働時間は「労働日数 × 日の契約労働時間」の計算式で算出されます。
3.表示されている「労働日数」の合計が、「1年単位の変形労働時間制に関する協定届」の「対象期間中の総労働日数」と一致していることをご確認ください。
補足
警告表示について
「合計」欄の、「労働日数」が280日(閏年の場合でも同じ)を超える場合、または「労働時間」が2085時間42分(閏年の場合は2091時間25分)を超える場合に警告メッセージを表示します。
なお、警告メッセージが表示されても登録は可能です。
残業計算について
この画面で表示される労働時間合計は、残業計算には影響しません。
残業計算の基準時間は、法定労働時間の2085時間42分(閏年の場合は 2091時間25分)となります。
4.「1年単位の変形労働時間制に関する協定届」の「特定期間」を入力し、登録します。
補足
[追加]ボタンから、複数の特定期間を設定することも可能です。ただし、1年の相当部分を特定期間とするような設定は、法の趣旨に反するため認められていません。また、設定した対象期間の途中で特定期間を変更することも認められていません。
引用 : 平成11年1月29日基発第45号|厚生労働省
週単位の集計範囲
ご利用環境によっては「週単位の集計範囲」という項目が表示されることがあります。1週間が月をまたぐ場合の計算方法です。
初期値は「月初から月末まで」となっています。月初から翌月の第1週目までを集計範囲とします。「前月を含める」を選択すると、前月の最終週を含めて1週間を集計範囲とします。
注意点
本項目を設定したい場合は、以下を設定してください。
ホーム画面「設定」内[その他]>[オプション]>「勤怠管理設定」カテゴリ内「変形労働設定機能」の「週の集計範囲で月跨ぎの利用」に「利用する」を選択
3. 月の時間外集計
月の時間外集計カテゴリの「割増残業」を設定します。割増開始時間[60]時間と入力します。
自動設定される項目一覧
「1年単位の変形労働」を選択すると、以下4箇所の項目が、推奨設定に基づき自動設定されます。
1.働き方カテゴリの「労働時間」>[変形労働設定]>「共通」カテゴリ/「週単位」カテゴリ内
注意点
「週の締め日」について
設定画面に表示されている値は無視されます。「起算日」を週の始まりとし、週の締め日を決定します。
例)起算日が、令和3年4月1日(木)
→「木曜日」が週の始まりとなり、週の締め日は「水曜日」になります。
2.「深夜労働」カテゴリ >「深夜勤務時間」
3.「日の時間外集計」カテゴリ >「残業開始時間」
注意点
残業開始時間を法律以上(8時間未満)で設定する場合は、「1年単位の変形労働」の推奨設定が適用できないため、「手動設定(フレックスその他)」での運用となります。
4.「休暇関連」カテゴリ[詳細]>「休暇みなし勤務時間の所定外・残業計算への算入」
注意点
労働基準法上では有給休暇の取得時間は実際には働いていないため実労働時間とはみなされません。実労働時間を計算する際、有給休暇の取得時間を実労働時間として「含めない」設定が法律通りとなります。
なお、含めるの設定にして、実労働時間と同等として取り扱うことは、法以上の運用であり、問題はありません。ただし、「1年単位の変形労働」の推奨設定が適用できないため、「手動設定(フレックスその他)」での運用となります。
【設定方法】手動設定
以下手順にて、1年単位の変形労働制を手動設定することも可能です。
1.雇用区分設定画面にて該当雇用区分の[編集]をクリックします。「働き方」カテゴリの「労働時間 」項目の「手動設定(フレックスその他)」(①)を選択し、[変形労働設定](➁)をクリックします。
2.利用単位「年単位」を選択します。
3.「集計範囲」(①)、「開始月」(➁)、「月別労働時間」(③)を設定して登録します。
これら以外の項目は本記事内「自動設定される項目一覧」と同様の内容で自動設定されます。
補足
日の時間外集計カテゴリ > 残業開始時間 は、8時間以内であれば任意に設定できます。
タイムカードの集計項目(管理画面のみ)
管理画面からタイムカードを表示すると、「1年単位の変形労働集計」が表示されます。
※従業員アカウントの画面には表示されません。
| 項目名 | 説明 |
| 法定労働時間 | 残業計算となる基準の2085時間42分(閏年の場合は 2091時間25分)が表示されます。 |
| 前月までの労働時間 | 表示月の前月までの残業時間を除く労働時間数の合計です。 |
| 残労働時間 | 年の法定労働時間に達するまでの残りの時間数です。 |
アラート機能
1年単位の変形労働に関するアラートが存在する場合は、ホーム画面「対応が必要な処理」に、「1年単位の変形労働」と表示されます。
※[全メニュー]>[エラー勤務]>[1年単位の変形労働]タブからも確認可能です。
注意点
締め処理がおこなわれた月は勤怠が確定したものであるため、アラートの表示対象外となります。
アラート詳細は以下の通りです。
スケジュール未登録の従業員一覧
スケジュールが登録されていない年月と従業員を表示します。月初の30日前が登録期限となり、 登録期限までにスケジュールの登録をしていない場合にエラー対象となります。
スケジュール不適合の従業員一覧
登録された「スケジュール時間」や出勤予定日数などがふさわしくないものを表示します。
※「スケジュール時間」の詳細はこちら
| 理由 | 説明 |
| [コンプライアンス]1日の労働時間 | 1日の労働時間が10時間を超えた日がある場合に表示します。 |
| [コンプライアンス]1週の労働時間 | 1週の労働時間が52時間を超えた週がある場合に表示します。 |
| [コンプライアンス]1年の労働時間 | 1年の労働時間が2085.7時間(閏年は2091.4時間)を超えた場合に表示します。 |
| [コンプライアンス]連続労働日数 | 連続した労働が6日(特定期間に設定してある期間は12日)を超えた場合に表示します。 |
| [コンプライアンス]週48時間 連続3回 | 週の労働時間が48時間を超えた週が連続3回を超えた場合に表示します。 |
| [コンプライアンス]週48時間 3ヶ月3回 | 初日から3ヶ月ごとに区切った期間内で週の労働時間が48時間を超えた週が3回を超えた場合に表示します。 |
| [コンプライアンス]総労働日数 | 1年の労働日が280日 を超えた場合に表示します。 |
| [任意]月の労働時間 | 月の労働時間数が月別労働時間設定で設定した労働時間 を超えた場合に表示します。 |
| [任意]月の休日日数 |
月の休日日数が月別労働時間設定で設定した休日日数に満たない場合に表示します。
※勤務日種別が「法定外休日・法定休日」として設定されている日が「月の休日日数」としてカウントされます。 |
補足
冒頭に[コンプライアンス]とつくものは、法令に適合していないスケジュールが登録されています。
冒頭に[任意]とつくものは、変形労働設定で指定した月の基準を満たしていないスケジュールが登録されています。
実績不適合の従業員一覧
スケジュールが未設定の日を対象として、 勤務実績が法令に沿っていない勤務をアラート表示します。
- 1日の労働時間 : 1日の労働時間が 10時間 を超えた日がある場合に表示します。
- 1週の労働時間 : 1週の労働時間が 52時間 を超えた週がある場合に表示します。
月別労働時間未登録一覧
雇用区分の月別労働時間は毎年設定する必要があります。 翌年も引き続き年変形を使用する際の設定漏れを防ぐため、年変形の開始日の90日前から登録をうながすアラートを表示します。
- 登録待ち : 年変形の開始日が近づいている年です。90日前から表示します。
- 未登録 : 年変形の開始日を過ぎても登録されていない年を表示します。
ただし、1年以上前の年は表示しません。
スケジュール管理画面の警告表示
「スケジュール管理」画面と「スケジュール登録」画面に、「月別労働時間設定」で設定した労働日数と労働時間が表示されます。設定した日数や時間数に対して不足および超過している場合に警告表示します。
※雇用区分設定にて年単位の変形労働を設定している場合に、対象画面の表示期間で「月別」を指定したときに表示されます。
表示されている勤務日数と労働時間に対し、不足を「-(マイナス)」で、超過を「+(プラス)」で表示します。
スケジュール管理
スケジュール登録