「家族経営からの脱却」からスタート
まずは「社会保険労務士法人 行政書士法人アドバンス」について教えてください。
伴さま:そもそものスタートは、祖父母が福岡経営者共済会という労働保険事務組合を始めたことです。その後、私の父が社労士と行政書士の資格を取って、1986年に個人事務所としての社会保険労務士・行政書士事務所を立ち上げました。
私は学生のときに行政書士の資格を取りましたが、卒業後は地元の鉄道会社で営業として働きました。その後、2007年3月に退職して社労士資格取得のために集中して勉強し、8月に試験に合格して9月に入社したかたちです。代表に就任したのは2015年です。
もともとうちは家族経営の個人事務所だったのですが、私は「家族経営から抜け出し、組織運営すること」を大きな目標として掲げてきました。それもあり、2015年はグループで30名ほどだった従業員数が、2022年時点で約50名になりました。
組織運営の中で従業員を増やすことを意識されていたのでしょうか?
伴さま:そういうわけではないのですが、仕事が増えてくるなかで、必然的に増えていったかたちです。定年に達する社員が増える、これから10年後のことを考えると、もう一回り増やしていこうとは思っています。
では、現在のクライアント数やその内訳について教えてください。
伴さま:クライアント数は約1,000社です。売上比率でいうと3分の2が手続きで、3分の1がコンサルとなっています。ここ数年はコンサルの割合が大きくなってきています。
仕事を増やすうえで「一つの導線に頼るのではなく、さまざまな『線』を作ること」を重視
「仕事が増えてくるなかで従業員数も増えていった」とありましたが、社労士が仕事を増やすうえで「ネットワーク作り」が大切と聞きます。ネットワーク作りにおいて重視していることはありますか?
伴さま:まず、当たり前のことですが、丁寧に仕事をこなすこと。丁寧に仕事をこなせば相手に認めてもらえて、紹介が増えてきます。それが大前提です。
そのうえで、クライアントとのつながりにおいて、一つの導線に頼るのではなく、さまざまな「線」を作っていっています。
クライアントとのつながりが「手続き」だけなら、それ以上にはなりません。でも「コンサル」「システム導入」といった「線」が複数あれば、そこからさらにつながっていけます。システム導入をサポートしたA社がB社に「あのシステムよかったよ」と伝え、B社からシステム導入に加えて顧問契約につながることもあります。事務代行だけやっていたら、このようなチャンスは生まれません。
あとは、「先生」としてお高く留まらず、自分をどれだけさらけだせるかも重要だと思います。
組織運営のなかで「営業」をどのように強化しているのか?
さまざまな導線を作ることで仕事のチャンスを増やしているのですね。一方で、仕事先を増やす方法としては営業活動も一般的ですが、営業ではどのようなことに力を入れていますか?
伴さま:うちの営業は歩合制なんです。新規の顧客を取ってきた場合には、仕事を「取ってきた人」「受けた人」に均等にアドバンスベネフィットポイント、通称ABポイントが付与されます。ポイントはいったん退職金に上乗せされますが、給与や賞与として引き出すこともできます。稼ぐ人は稼げる仕組みにしているので、モチベーションの一つにはなっているのかな、と。
あとは「とにかく縁を作れ」というのを伝えています。先ほどのお話と重なりますが、とにかく「線」を作ることを重視しているので、間接的ではありますが、名刺の獲得枚数も評価対象にしています。動いている人といない人が一目瞭然になるので。
このあたりは他とは少し違う「営業への力の入れどころ」かもしれません。
そのようにして増えてきたお仕事は、従業員に上乗せされていくと思うのですが、どのようにマネージメントされていますか?
伴さま:うちは、部門長が公募制なんです。1年に1回「経営側に回りたい」と手を上げた人間の中から私が選びます。意欲の高いメンバーが経営側に回ることで、組織を引っ張っていってくれ、それが組織力を高めている側面はあります。
そういう意欲がある人間のやりたいことを実現できる環境を作り、活躍できる機会を作ってあげるのが私の仕事です。
「線」を作って仕事の機会を増やし、もう一方でそれを受け止める組織の仕組みを作り、さらに線を増やせるようにする……という相互作用の形なんですね。
伴さま:そうですね。社労士法人だからこそ、「人中心の経営」はかなり意識してきました。赤字はもちろんだめですけど、お金は二の次で、人事制度を含めて、「どれだけ働きやすい環境を作って人を育てられるか」にウェイトを置いています。
「利益が後からついてくる」という経営の理想を追いかけたわけですが、それが時代とマッチしてうまくいっている……というのが現状です。
「手続き業務を内製化しているクライアントに、何かサービスを提供できないか?」
2017年に「オフィスステーション Pro」を導入されていますが、導入のきっかけを教えてください。
伴さま:私が代表に就任した後、コンサルティングの業務割合が増えていくとともに、「手続き業務については内製化している」というクライアントも増えてきました。「内製化しているクライアントに対し、何かサービスを提供できないか?」ということを考えたときに、クラウドサービスであるオフィスステーションがいいのではないかという話が出てきたことがきっかけです。
現在は他に手続きサービスを利用されていますか?
伴さま:いくつかのサービスを利用しています。
そのなかで、「オフィスステーション Pro」を使っていて「良い」と感じる点を教えてください。
伴さま:「社労士事務所」と「企業」の双方にとって使いやすいことです。社労士用ソフトにはいくつかありますが、「社労士事務所側の使い勝手の良さに特化したもの」と、「企業側での使い勝手の良さに特化したもの」で分かれています。そんな中で、オフィスステーションは社労士事務所と企業の両方の目線を持つバランス型だな、と。
ありがとうございます。では実際に導入して、変化は感じられましたか?
伴さま:企業とのつながりが強くなりました。コンサルティングの顧問契約は水物というか、景気や業績が悪くなったときに解約されるリスクがあります。その点、手続き業務やシステム利用つながると簡単には切られなくなります。
うちは企業と「線」をたくさん作ることを意識していますが、「コンサルティング」という線だけだと切られたら関係が終わってしまいます。けれど「手続き」や「システム利用」という線があればコンサルティングの線が切れても企業とつながっていられますから、また線を復活させることも可能です。このようにリスクヘッジができるという点は、かなり大きなメリットを感じています。
「たくさん線を作る」というアドバンスさまのやり方とマッチした形なんですね。では、今後のオフィスステーションの活用についてどのようにお考えでしょうか?
伴さま:現在もオフィスステーションで手続きする企業さんを増やしているという状況ですが、1号・2号業務が中心です。ただ、給与計算を自動化する機能などもありますから、こちらにもつなげていきたいなと考えています。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
なお、「オフィスステーション Pro」の詳しい機能や価格などは以下からダウンロードできる資料で確認可能となっています。