「経営者を支援する立場である以上、社会の変化に対して企業より遅れを取るわけにはいかない」
まずは「オフィスステーション Pro」導入の経緯を教えてもらえますか?
寺田さま:もともとうちは歴史が長い事務所ということもあり、やり方がすごく古かったんです。
ただ経営者を支援する立場である以上、社会の変化に対して我々が企業より遅れを取るわけにはいきません。
また、経営者として人件費を変動費化することも考える必要がありました。従業員数をどんどん増やしていくことも可能ですが、それだと社会が変化し売り上げが減ったときに、従業員に辞めてもらわなければなりません。
このような経緯から、規模は追わずにクラウドシステムを活用して業務の質を改善していきました。藤本社労士と坂本社労士を中心に基幹業務をどんどん変えていき、その中で「オフィスステーション Pro」を導入した形です。
社労士事務所をDXする前に抱えていた課題
当時、社労士業務において、具体的にはどのような問題を抱えていましたか?
坂本さま:当時は他社の社労士ソフトをメインで使かっていたのですが、まだまだ手書きやアナログ感が強くて、日々事務処理に追われていました。そんなときに藤本がオフィスステーションのセミナーに参加して、「これがいいのでは?」と。
藤本さま:そうですね。当時のソフトは社労士サイドの目線で作られていて、慣れている人は使えるんですが、「使える人が限られる」という点が問題としてありました。
それは、ソフトの使い方を教育するのが大変だったということなのでしょうか?
藤本さま:というより、教育する時間さえ取れず、「ソフトを使える人」に業務が集中し、忙殺されるという負のサイクルでした(笑)。 そんな中、セミナーをきっかけにオフィスステーションを知り、トライアルを使ってみたら「誰にでも使いやすい、見やすい画面」という印象を受けました。オフィスステーションであれば社内の誰もがソフトを使うようになれ、効率化が図れると考えたんです。
新しいクラウドソフトを導入する際には、社員の方から反発などありましたか?
藤本さま:大きな反発はありませんでしたが、やはり抵抗感はあったようです。弊社では社員やパートタイムの方が電子申請ソフトを使っていたのですが、「ようやく使い方を覚えたのに新しいソフトにするの?」と言われることはありました。
では、新しいシステム導入について、どのようにして理解を得ましたか?
藤本さま:オフィスステーションの画面の使いやすさや、「クラウドソフトなのでテレワークが可能になる」という点は、従業員側が得られる大きなメリットとして響きましたね。これらの説明によって、反対の声が大きくならず、すんなりと理解を得られたと記憶しています。
寺田さま:会計業務のクラウド化はそれ以前にやっていたので、クラウドに対するイメージを従業員が持っていたという点は大きかったと思います。
坂本さま:新型コロナウイルス感染症が流行する前から、弊社では在宅勤務制度を進めていたんですが、使っているソフトがクラウドソフトでないことで、「何かあると出社しなければいけない」と課題を感じていました。ペーパーレスやクラウド化に対する意識はあったので大きな反発が起こらなかったのだと思います。
社内全体の共通意識が作られていたことが重要だったのですね。では、実際に導入する際には、当時懸念として感じておられた「データ移行」はうまくいきましたか?
藤本さま:実際にやってみたら特に問題なく、スムーズに完了しました。弊社の顧客は全体として約350社で、オフィスステーションに登録している企業は217社なんですが、作業は2~3日で完了しました。入社してすぐの従業員に担当してもらったのですが、オフィスステーションのデータ移行の仕様が使いやすかったことで、すんなりと済みましたね。
オフィスステーションでのDXで「圧倒的な業務削減」
そのようなお話を聞けてうれしいです! オフィスステーションは、企業にアカウント発行することで、企業の担当者が直接情報をシステムに入力し、そのデータをもとに電子申請をすることが可能です。このようなアカウント発行の状況はいかがでしょうか?
藤本さま:アカウント発行についても、この1年で進めています。やはり、中小企業の中にはデジタルに抵抗感があるところもあります。ただ、オフィスステーションの画面を見せ、実際に使ってもらいながらメリットを伝えると、導入してもらいやすいです。中小企業の場合、従業員台帳がないところもあります。オフィスステーションを使うと、従業員台帳や履歴書の保存・管理ができますので、企業としてメリットが大きいんです。
では実際にオフィスステーションを手続きや電子申請で使われて、何か変化は感じられましたか?
藤本さま:やはりスピードが全く違います。社労士側で一から入力するのと、企業に入力してもらうのとでは、作業量が圧倒的に異なりますから。日常的な業務量の変化は担当者ごとに違うとは思うのですが、私の場合は業務が減ったことで、家に帰る時間が早くなりました。
坂本さま:紙ベースの手続きがなくなり、電子申請できるようになったことで移動時間、郵送の手間などの業務時間が大きく削減されているのは感じます。また顧客規模についても、人数が多くても対応できるようにもなりました。
あとは変化でいうと、「教育の方法が変わった」という点が挙げられます。これまでは紙を中心に書き方を教えていましたが、現在はオフィスステーションの入力と法律が付随する箇所を平行しながら教えています。そのように教えた後にこなせる手続きの数は、オフィスステーションが圧倒的です。
津川さま:オフィスステーションは、質問項目に対して入力していくだけで届出が完成するという点がとても使いやすいのですが、プレビュー画面で入力情報を紙ベースの届出のフォーマットとして確認することもできます。紙での申請のイメージを得ながら、デジタルで省力化できるという点は助かっています。
事務所をDXしたことで、生産性はどのくらい向上したのでしょうか?
寺田さま:うちの従業員にはパートタイムやアルバイトもいますので、それらに関しては0.7名として換算し、生産性を計算するのですが、DX前の2017年時点で一人当たりの生産性(一人当たり売上高)は1,000万円でした。しかし現在は一人当たり1,370万円ほどに上がってますね。
「デジタルによる効率化で社労士事務所の生産性を上げること」はオフィスステーションの目指すところですので、そのようなお話を伺えてうれしいです。これまで事務所内のデジタル化について伺ってきましたが、顧客である企業のデジタル化についてはどのような状況だと感じていますか?
寺田さま:デジタルへのニーズの高まりは感じています。従業員の高齢化に危機感を覚えている方も多いですし、会計周りは女性社員が多いですから、育児休業への対応で課題を抱えている企業も増えています。これらはデジタル化で解決できる課題です。
先ほどもありましたが、社労士や税理士は経営者から相談を受ける側ですので、企業の経営者よりも後ろを走っていてはだめだと考えています。自社がDXし、失敗も成功も経験することでサービスに説得力をつけることができるはずです。
本日は貴重なお話をありがとうございました!