社労士7名・スタッフ16名──”カンファレンス型”で顧問先を支える岐阜の老舗事務所

まず、貴所の概要について教えてください。
平井さま:所長を含めて社労士が7名、スタッフは全員で16名の体制です。業務のほとんどは1号・2号業務ですが、元々は3号業務──賃金コンサルティングや人事制度の構築──をメインに手がけてきた事務所です。所長が独自の賃金制度を考案して東京で提案していた時代もあるぐらいで、人事制度づくりの知見があるのはうちの強みの一つですね。
ここ数年は、顧問先から「もう複雑すぎて追いつけないから、全部お任せしたい」というご依頼が増えて、従業員数の多い企業の給与計算や手続き業務のアウトソーシングのボリュームがかなり大きくなっています。
社労士7名は、事務所としてかなりの人数ですね。
平井さま:岐阜県内でもトップクラスに社労士が多い事務所だと思います。これは意識的に集めたというより、事務所に入ったあとに資格を取って——という自然な流れの結果です。「せっかくこういう事務所にいるなら取ったらいいよ、応援するよ」という方針が根づいていて、在職中に取得するスタッフが多いですね。
この人数がいることの一番の強みは、お客様からの労務相談に対して”カンファレンス”ができることです。担当者1人の感覚で答えるのではなく、みんなで共有して、いろんな角度から検討した上で「事務所としての回答」をお返しする。所長は「お医者さんのカンファレンスのようなものだ」とよく言っており、その体制が大きな企業様からの信頼にもつながっていると感じます。
ペア制という独自の体制も採用されているそうですね。
平井さま:はい。うちは女性スタッフが全員子持ちなんです。だから短時間勤務のスタッフも多い。有資格者とアシスタントがペアを組んで顧問先を担当するようにしています。どちらかの子どもが急に熱を出しても、もう片方がサポートできる。子育てしながらでも安心して働ける体制を整えています。
顧問先の特徴についても教えてください。
平井さま:エリアは岐阜県内が中心ですが、愛知県や東京、遠いところでは東北にも顧問先があります。コロナをきっかけにリモート対応が進んで、「オフィスステーション Pro」がクラウドで使えることもあって、本当にエリアを問わなくなりました。
業種は建設、飲食、小売、製造、医療介護、林業、自動車販売、人材派遣——特定の業種に特化しようと思ったこともあるんですが、紹介が広がるにつれてどんどん多様になっていきました。規模も家族経営から300名規模まで幅広いです。
顧問先の獲得は圧倒的に紹介です。飛び込み営業は一切していません。ありがたいことに、お客様が「いい事務所があるよ」と紹介してくださる連鎖でずっと広がってきました。
約20年使った旧システムの限界──「一つのシステムで全部やりたかった」
「オフィスステーション Pro」を導入された経緯を教えてください。
平井さま:約20年使っていた社労士向けの業務支援ソフトがありました。導入した当時は、そういったソフトで電子的に手続きをやること自体が先進的な時代だったんです。ただ、お客様から「Web給与明細はないの?」「年末調整を電子でできないの?」と求められるようになっても、そのソフトでは対応できなかった。
開発元にも相談しましたが、やはり開発の規模が限られていて「まだちょっとできないんですよ」と。それで別の会社のWeb明細サービスや年末調整のシステムを紹介されて、結局バラバラのシステムを組み合わせて運用するようになったんです。
社労士会の会報に載っていた「オフィスステーション Pro」の広告をきっかけに、一度話を聞いてみようということになりました。他社のシステムも検討しましたが、うちのやり方──分業制で、一つの顧問先に複数のスタッフがアクセスするスタイル──に合うかどうかが最大の判断基準で、「オフィスステーション Pro」が一番マッチしていると感じました。
システムが分かれていたことで、具体的にどんな課題がありましたか?
平井さま:一番大きいのは、データの受け渡しの手間です。給与計算が終わったらデータをエクスポートして、別のシステムにインポートする。年末調整も、申告データをエクスポートして給与ソフトに加工して入れ込む。出して、入れて、ちゃんと入っているか全部チェックして——。自分で操作して移しているから、一つ一つ確認しないと怖いんですよね。
「今の時代にこれか……」という気持ちがずっとあって。一つのシステムで全部完結する、それが一番やりたかったことでした。
クラウド化への期待もあったのでしょうか?
平井さま:大きかったですね。旧システムはサーバー設置型だったので、事務所に来ないと仕事ができない。うちは子育て中のスタッフが多いんですが、子どもが熱を出したときに「家で仕事ができる」環境を用意したかった。やれとは言わないけど、やりたいと言ったときに「いいよ」と言える——そういう環境にしておきたかったんです。
あとは顧問先への訪問時ですね。以前は「この従業員の社会保険ってどうなってたっけ?」とその場で聞かれても、事務所に電話して調べてもらうか、事前に紙で印刷して持っていくしかなかった。使わなかったらシュレッダー。ものすごく無駄でしたよね。今はPCでクラウドにつなげばその場で見られる。全員のPCをノートに切り替えたのもそのためです。
1年で完全移行を完了──「覚悟」と「仕組み」で16名全員を動かす
約1年で完全移行を完了されたそうですが、どのように進められたのですか?
平井さま:まずコアメンバー3人で先行して触り始めました。毎日お昼休みの時間にミーティングして、動画マニュアルを見て、自分たちの担当顧問先で実際に試し、「オフィスステーション Pro」の流れとうちの業務フローの違いを一つ一つ検証していきました。
うちは16名いるので、3人だけがわかっていても意味がありません。先に「この流れでいける」という型を作って、それを全員に展開する。「オフィスステーション Pro」さんのマニュアルとは別に、自分たちの事務所のやり方に合わせたマニュアルもそれぞれ作りました。
年末調整、年度更新、日々の電子申請、給与計算——一つ一つの業務を、本当に探りながら進めてきて、年明けに「これで行ける」が見えた。そこで1月に「3月末までに全社移行」とスケジュールを出して、進捗管理をしながら全員で突き進みました。2026年4月からは旧システムを一切使わない体制になっています。
その移行中に、不安になった瞬間はありましたか?
平井さま:年末調整のタイミングですね。蓋を開けてみたら想定と違うところがあって、「大丈夫かこれ?」と一瞬ヒヤリとしました。ただ、もう戻るという選択肢は誰も持っていませんでした。「完全移行すると決めたんだから、やるしかない」。それだけです。
お尻を決めないとズルズルいってしまう。だから年始にドンと期限を出して、スタッフには「今はしんどいけど、必ず楽になるから」と夢を描きながらやってきました。
この短期間で完全移行ができた要因は何でしょうか?
平井さま:やっぱりスタッフの人数と体制ですね。1人では絶対に無理です。どんなに優秀な人がいても、どんなに良いソフトでも、1人でやろうとしたら無理だと思います。コアメンバーの3人がいたからできた、というのが正直なところです。
「わかりやすい」「簡単だ」──年末調整とWeb明細で顧問先から好評の声
Web給与明細の導入は、顧問先にスムーズに受け入れてもらえましたか?
平井さま:最初は心配していたんです。「ソフトを変えたのはそっちの都合でしょう」と言われるかなと。ただ実際に提案してみたら、「わかりました」と受け入れていただけるところがほとんどでした。
提案の仕方としては、「うちがこうするからこうしてください」ではなくて、「今、世の中こういう流れですよね」という話し方をしています。経理の方はすでに電子帳簿保存法やインターネットバンキングに対応されていることが多いので、「給与明細もWebにしませんか?」と言うと、自然に「そうね」となる。一人ひとりにQRコード※付きのご案内を出せるので、導入のハードルも低かったですね。
以前は給与計算が終わったらデータをエクスポートして別のシステムにアップするという作業が必要でしたが、今はボタン一つでWeb明細にアップできる。給与計算後の処理は明らかに楽になりました。印刷して封入して郵送する手間もなくなったので、ここはもう劇的な変化です。
※ QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です
年末調整の電子化については、いかがでしたか?
平井さま:以前のシステムでも電子で年末調整をやっていたところはあったんですが、入力画面が見づらくて、お客様から「わかりにくい」という声がありました。
「オフィスステーション Pro」の年末調整は、入力がしやすいのに加えて、入力した内容が扶養控除等申告書のあの帳票の形そのままで表示されるんです。お客様にとって「あの形で見える安心感」が大きいようで、「前よりわかりやすい」「簡単だ」とすごく好評でした。変更があったところが赤字で表示されるので、チェックもしやすいです。
今年は、Web給与明細をほぼ全社に切り替えているので、すでに従業員データが入っている状態から年末調整をスタートできる。電子年末調整をもっと広げていけるんじゃないかと、すごく期待しています。
「ソフトを変えたのはそっちの都合でしょう」と言われないために既存の顧問先に対して、システムの切り替えで意識されていたことはありますか?
平井さま:「いかに今までと変わらないですよ」と見せるか、ですね。うちがソフトを変えたのは、お客様にとっては関係ない話ですから。「変えたのはそっちの都合でしょう」と言われるのが一番つらい。だからサービスが落ちたと感じさせない、むしろ良くなったと実感してもらえるように、細かいところまで気を配っています。
たとえば、以前のシステムでは社会保険料が変わったときに一人ひとりにお知らせを出せる機能があったんですが、その機能は「オフィスステーション Pro」にはない。じゃあ給与明細のメッセージ欄にこちらで情報を入れて提供しましょうか、と代替案を考える。お客様に手間をかけない、サービスが下がったと感じさせない——そこは常に意識しています。
「社労士の仕事を知らない人でもできるソフト」──操作性と電話サポートの力
「オフィスステーション Pro」の使い勝手について、率直なご感想を聞かせてください。
平井さま:最初に導入を決めたとき、「これは社労士の仕事を知らない人でもできるソフトだ」と思ったんですよ。知識がないと使えないソフトって実際あるんです。でも「オフィスステーション Pro」は、手順を追っていけば経験が浅い人でもできる。「これ終わったら次はこれ」と画面が導いてくれるので、身構えることなく使えるんです。
実際に、顧問先に勤怠システムを導入したとき、先方の担当者がいろんな勤怠ソフトの導入経験がある方だったんですが、「今までのソフトで一番使いやすい」と言ってくれました。有給の承認をする現場のリーダーのように、こういったシステムを触ったことがない方でも問題なく操作できている。そこは自信を持ってほかのお客様にもおすすめできるポイントです。
サポート体制についてはいかがですか?
平井さま:電話サポートは、もう本当にやめないでほしい(笑)。これは切実なお願いです。
ほかのクラウドサービスだとメールでの問い合わせだけで、返事が数営業日後というところも多いと聞きます。うちは移行期にいろんな検証をしていて、「こうやったらこういう結果になったんですけど、これで合ってますか?」みたいな質問をたくさんしたんですが、電話でちゃんと対応してもらえた。その日にわからなくても、数日後にはきちんと回答が返ってくる。できる・できないは別として、ちゃんと向き合ってくれるという安心感がありました。
メールだけのやり取りでは、1年での移行は絶対に乗り越えられなかったと思います。
今後の展望──勤怠とマイナンバーの「セット提案」で、さらなる一元化へ

今後、「オフィスステーション Pro」の活用をどのように広げていく予定ですか?
平井さま:まずはマイナンバープラスの導入です。勤怠システムの導入に興味を持っているお客様が増えてきているので、「勤怠を入れるならマイナンバーも一緒に」というセット提案で進めています。勤怠がないお客様にも、マイナンバーの話をしながら「ところで今の勤怠ソフトどうですか?」という形で自然に話を持っていける。
すべてが繋がれば、入社手続きから電子申請、公文書の送付まで一つの流れでできるようになる。今はまだ、電子申請が終わった書類を紙でお客様に送っているので、それも「オフィスステーション Pro」上で完結させたい。早くそこに行き着きたいですね。
事務所としての今後の方向性はいかがですか?
平井さま:うちは売上目標を「何%上げよう」と掲げるタイプの事務所ではないんです。お客様の信頼に日々応えていくこと。その結果として毎年少しずつ売上が伸びている、という自然な成長を大事にしています。
「オフィスステーション Pro」への移行はようやく完了しましたが、まだまだソフトの機能を使いきれていない部分もあります。正直、私たちの中に旧システムの癖が残っていて、「ここまで見ないと信用できない」という感覚がなかなか抜けないんですよね。でも、ソフト自体は「そこまで見なくていいですよ」と教えてくれている。その信頼の切り替えができたとき、もっと楽になれると確信しています。
あともう少し。あと1年もすれば、「入れてよかった」と胸を張って工数削減を数字で語れるようになると思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!