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導入事例

なぜ「増益」と「労働環境改善」を一気に実現できたのか?


社会保険労務士法人 竹内社労士事務所
竹内さま
真山さま
水越さま

INTERVIEW

まずは「竹内社労士事務所」について、教えてください。

竹内さま:私は1996年12月に独立開業したため、事務所は今年で26年目です。開業時は賃貸マンションの一室でしたが、何度か移転を繰り返したのちに、現在は緑豊かな駒込にオフィスを構え、16名のスタッフとともに業務にあたっています。

弊社の業務の70%ほどは人事相談です。手続き業務もおこなっていますが、積極的にはアピールしておらず、主に人事相談顧問を担当している会社からご相談があったときに対応しています。ですので、売上比率は人事関係が70%、手続き業務が30%ぐらいです。顧問先数は約420件で、手続き業務を担当しているのはそのうち20%程度となっています。

事務所はどのような体制で運用されているのでしょうか?

竹内さま基本的には「企業が雇用する従業員の問題で対応に苦慮しているときに使用者の相談に乗る」という接点ですので、できる限り多方面の問題を解決できるよう、さまざまな分野のスタッフを揃えています。16名のスタッフのうち、社会保険労務士は6名、行政書士は1名、FP技能士は1名、医療経営コンサルタントは1名です。

ただ、より専門的な分野については、4つの弁護士事務所をはじめ、それぞれの専門家(産業医、司法書士、税理士、ISO、コンサルタント、行政書士、保険代理店)と契約しておりますので、そのような顧問の先生に対応をお願いすることもあります。

なるほど。そのように社内・社外にさまざまな専門家を据えた組織ができるまでには、どのような経営戦略をたどってきたのでしょうか?

竹内さま経営戦略自体は、昔も今も、基本的には変わっていません。多くの企業は「従業員とのトラブル」という大きな問題を抱えています。このような緊急性が高い問題を抱える企業をマーケティングによって集客し、コンサルティングして解決に導くことを、26年にわたってビジネスの柱としてきました。

マーケティングに力を入れているとのことですが、具体的にはどのようなことをおこなってきましたか?

竹内さまマーケティングの重要性を痛感したのは、2006年にマーケティング・コンサルタントであるジェイ・エイブラハム氏のセミナーを受けたことがきっかけです。人海戦術を使わずに事務所を拡大するには、「一目で事務所の特色がわかるような旗を立て、商品サービスを作っていくことしかいない」と。そこで事務所の特色として「100%経営側のサービス」ということを明確に打ち出し、顧問先のことを「社長を守る会の会員」と呼ぶなどして、サービス内容をWebで展開しました。

また、弊社ではWebサイトで教材・マニュアルの販売や、月3~4回のセミナー開催、毎月12ページのニュースレターの送付を約4,000社におこない、企業と接点を増やしています。そのうえで、会社にお邪魔するなどして、「困ったらことがあったらご連絡ください」とコンスタントにアピールすることで、顧客を増やしてきました。

マーケティングを中心に事務所を運営するなかで、最も重要視している部分はどこでしょうか?

竹内さま「同業者がやれないこと」をキラーコンテンツとすることです。社労士は社会保険や社会保障、保険給付、労働基準法などに詳しいという点が武器ですから、この武器を補助的に使いながらテーマとして「経営者の悩みを解決する」という部分に焦点を当てています。

早い時期からWebマーケティングに注力されてきたとのことですが、デジタル化にもかなり力を入れているのでしょうか?

竹内さまマーケティングに関しては、弊社の専務がマーケティングのほか、経営管理的な顧客データベースや、請求書を発行するシステムを作ったりしています。

ただ弊社は人事コンサルティングがメインですので、もともとアナログ中心でやってきました。実務においてデジタル化を意識し出したのは、ここ数年です。

ではデジタル化を進めるきっかけは何だったのでしょうか?

竹内さま通常業務のなかで、業務の標準化や脱属人化の必要性を感じることが多くなってきた、というのがきっかけです。選任の担当者をつけて業務にあたると、その担当者の裁量で過剰なサービス提供がおこなわれることがあります。そうすると、担当者や担当企業の満足度は高くなるのですが、顧客間で不公平が発生してしまう。そのような状況にありました。これは経営としてよくありません。

デジタル化の目的は「業務の標準化」にあったんですね

竹内さまそうですね。システムを導入することで手続き業務を標準化することができると考え、2018年に「オフィスステーション Pro」を現場主導で導入しました。

デジタル化を進めるために「オフィスステーション Pro」を導入することで、経営面ではどのような変化がありましたか?

竹内さま劇的に変わりましたね。一言でいうと、「減収増益」です。中小企業の場合は、売り上げがいくら多くても、利益が出なければ意味がありません。これまでは有能なスタッフがビッグクライアントに選任でつき、過剰なサービスを提供する形でしたが、そうするとサービスが手薄なクライアントが出てきます。ただ、売り上げでなくて利益率で考えるなら、これらのクライアントについてもしっかりとサービスを提供せねばならないので、やり方を見直す必要がありました。

システムは「できること」と「できないこと」が明確なので、すべてのクライアントに対して一定のサービスを提供し、そのうえで、範囲外の業務については「別途費用が発生する」と伝えることができます。弊社では、このやり方に変えることで、企業間のサービス格差がなくなりました。

やり方を変えることで離れていったビッグクライアントもいるので、売り上げとしては十数パーセント、額にして4,000万円ほど減少しました。しかし、慢性的に発生していた残業や休日出勤がなくなり、これまで12カ月かけていた業務が9カ月で終わるようになりました。また、ペーパーレス化が進んだことで事務所のキャビネットが16個減り、事務所に必要な面積を減らすことができました。これらによってコスト削減を実現した結果、売り上げは減ったけれど収益は増加している形です。「オフィスステーション Pro」を導入してからは、ずっと増益し続けています。

あとは、オフィスステーションの導入によって一時間あたりの作業量や一人あたりの生産性が可視化できたので、経営分析が立てやすくなったというのも、よかった点です。業務の効率化だけではなく、経営の効率化にもつながっています。

実務の部分では何か変化がありましたか?

竹内さま手続き業務に関して私はノータッチなのですが、コンサルティングにおいては、クライアントに対して経験を踏まえた「経営効率化」のアドバイスができるようになりました。

多くの企業が人手不足と残業についての問題を抱えています。「仕事はあるけれど、割増賃金を支払うと人件費が膨らんでしまい困った」と話すクライアントに対して、私は自分の経験を例に挙げて「顧客の利益率を見直し、低いところを手放してみたらどうですか?」と話すんです。これをすればリソースの再配分によって増益しつつ、残業代未払い請求のようなリスクをなくすことができますから。

では「オフィスステーション Pro」導入をどのように進められたかについても伺いたいと思います。導入はどなたが担当されたのでしょうか?

竹内さま真山が中心となって進めてくれました。現在は水越もデジタル化の部分を担当しています。

真山さまと水越さまのプロフィールを教えてもらえますか?

真山さまもともとSEをやっていましたが、SEをやめて竹内社労士事務所に就職しました。SE時代には自分の労働環境に疑問を感じており、竹内事務所で働きながら社労士の資格を取って、現在は勤務13年目です。

最初はマーケティング、社内システム関係、給与計算・手続き業務を担当していたのですが、事務所でシステムを導入することが決まってからは、デジタル化の推進も担当してきました。ただ今は、水越など、ほかに業務を担当できるメンバーもいるので、メインは管理業務に移っています。

水越さま私もこの事務所が社会人になってから2社目です。前職は6年間、全く異なる職種で働いていましたが、社労士資格を知って勉強を始め、合格することができてからはこちらの事務所でお世話になっています。今の仕事内容としては、給与計算業務・手続き業務が中心です。

「オフィスステーション Pro」を導入する以前は、どのような問題を現場で抱えていましたか?

真山さままず、以前使っていた社労士向けの手続きシステムで使いづらさを感じていました。当時の電子申請は、システムでデータを作成し、それを出力してe-Govで電子申請するという流れでした。ただe-Gov上では「どの企業の申請か」「誰が申請したのか」といった管理ができなかったため、公文書の確認だけでも非常に時間がかかってしまって。公文書を確認するためだけに土日出勤するような状態でした。

このような問題がある中で、前任の担当者が「オフィスステーション Pro」を知り、「これがよさそう」と勧めてくれたんです。

 そうだったんですね。デジタル化を進める中で、システムの比較などはされましたか?

真山さま当時はほかにも手続き系サービスが登場していたので、いくつかトライアルを使用しました。

そのなかで「オフィスステーション Pro」を選定した決め手は何だったのでしょうか?

真山さま圧倒的に使いやすさが違いました。まず、画面の操作方法が分かりやすかったです。また、「オフィスステーション Pro」は、ほかのシステムとは比較にならないほど対応帳票数が多いため電子申請できる手続きが多く、手続きの流れもやりやすいと感じました。

ほかのシステムはどちらかというと、企業が主体となって使っていくようなシステムですが、「オフィスステーション Pro」は社労士が主体となって進めて行けるシステムという印象でした。

竹内さま私はオフィスステーションを開発した「エフアンドエム」のことを「税理士や総務向けの支援業務をおこない、上場した企業」として、以前から知っていました。労務サービスを作っているスタートアップの多くは総務のことや業界のことを知らないと思うのですが、「エフアンドエムであればクライアントである総務の声を吸い上げて商品開発ができるはずだ」「システムを移行するならこっちだ」と賛成したんです。

では、導入にあたって難しかったところはありますか?

真山さま特になかったです。大きな変更点は「データのもらい方」だけでしたので。クライアントにはExcelファイルやPDFなどでもらっていたデータをシステムに入力してもらうようになることは説明しましたが、オフィスステーションでは従業員のデータベースを構築できることや、進捗管理の共有が可能になるなど、企業側にもメリットが多いので、説得に難航することはありませんでした。

ただシステム移行することで、今までのやり方を変えることができないお客様や、新しいことを始めることに抵抗感があったお客様が離れていくことはありました。

料金体系も刷新されたのでしょうか?

竹内さま料金に関しては、システム移行したタイミングで真山を中心にタスクの作業量を検証し、そのデータに基づいて見積もりを作成しました。「新しい料金体系に合わない企業があっても、それはそれでしょうがないよね」という考えなので、作業量と金額のミスマッチは減ってきていると思いますね。

手続き業務を料金体系とともに刷新し、現場はどのように変化しましたか?

真山さま圧倒的に効率化されましたね。以前のシステムでのやり方は「申請自体は電子申請だけど、そこに至るプロセスはアナログな状態」でした。というのも、企業からデータをFAXやメールなどでもらうので、システムには手入力する必要があったんです。オフィスステーショ ンの場合はクライアントがシステムに直接入力するか形ですから、その手間がゼロになりました。

また、オフィスステーションは「クライアントから情報をもらう」「もらったデータで申請書などを作る」「役所に申請をおこなう」ということがすべてデジタルでおこなえるので、これまでアナログだった付随業務も、合わせてデジタル化することができました。これにより一気にラクになりましたね。

水越さま私も手続き業務を担当するなかで、情報の収集から、公文書の送付まで、すべてが一つのシステムで完結できる点は素晴らしいと思っています。オフィスステーションにすることで業務負荷が劇的に変わったと感じますし、以前使っていたシステムの使い勝手の悪さを改めて感じました。

真山さまそのほかは、「進捗状況や画面をクライアントと共有できるので、問い合わせなどやりとりの手間が省けること」や、「転記作業がなくなることで転記ミスもなくなったこと」、あとは「教育コストが減ったこと」もメリットとして感じています。

以前は新入社員に対して「紙の申請書の書き方」を教えていましたが、オフィスステーションの場合は、申請書の書き方を知らなくとも質問に答えていけば申請書が完成します。ですので、ここ2~3年で入ったスタッフは離職票そのものを見たことがないんです。

現在、手続き業務は月に何件ほどあるのでしょうか?

水越さま季節にもよりますが、だいたい350件程度です。

竹内さまオフィスステーションにしたことで、今後は手続き業務のクライアントも増やしていこうと思います。というのも、「正確さ」は手続き業務のなかでも最も重要な部分なので、デジタル化するまで、私は正確さのために「二重・三重に申請書をチェックすること」を実務の場で伝えてきました。このやり方では多くのクライアントを受けることができません。しかし、デジタルになることでコンピューター側が正確性を担保するようになったので、全国向けに、低価格で手続き業務を展開していきたいですね。

オフィスステーションを今後どのように活用していくかについて、詳しく教えてください。

真山さままず、オフィスステーションを使ってデジタルで電子申請しているということで、「竹内社労士事務所はデジタル化している」というアピールができると考えています。

また、今後は企業の従業員にアカウントを発行し、「従業員」が直接情報を入力し、「担当者」になるべく負担のかからない状態で「社労士」に情報を提供できる形も増やしていきたいです。これは企業にとってメリットがとても大きいと思いますが、現在は一部のお客様に対してのみ実現できていることですので。

経営目線ではどうでしょうか?

竹内さま社会保険の手続きを始め、社労士にしかできない独占業務は、多くの社労士事務所が持っている武器ですので、ライバルが多く差をつけづらい部分です。私はこれまでマーケット分析のなかで「小さな企業はアウトソーシングができないから社員に手続き業務をおこなってもらう。担当者が辞めて困るような企業は社労士に安く手続き業務をおこなってもらう」と考えてきました。そのためうちの事務所はこれまで手続き業務ではなく「経営者のためのコンサルティング」に特化してきました。

ただ、デジタル化やクラウド化が進むことで、市場が変化しています。「クラウドサービスを介して従業員と社労士が直接やりとりする形」は、これまでうちの事務所になかったビジネスです。このようなビジネスモデルを、事務所と企業の両方にメリットがある形で活用していきたいと考えています。

「オフィスステーション Pro」は社労士が代理店となって企業にアカウントを販売することができるんですよね?

はい。社労士事務所でしか受けられない特典もご用意しており、多くの事務所で顧問先への導入が進んでいます。

竹内さまそうすると、「クラウド導入のコンサルティング」という形でサービス提供し、一定期間は社労士側が手続きをやって、その後は企業側に自立・自走してもらうという方法もできますよね。

先ほども話しましたが、うちではデジタル化をおこなうことでペーパーレス化が進み、キャビネットを16個廃棄することができました。オフィスステーションは企業の労務部門を改革するツールだと思うので、社労士事務所として「デジタル化推進コンサルティング」を新たにメニューとして増やしていく方向も考えています。

本日は貴重なお話をありがとうございました!