トラブルを転機に──「完全移行」を実現できた意思決定と設計

貴所は2023年に「オフィスステーション Pro」をメインシステムとして導入されたと伺っています。システムを切り替えるに至った経緯について、まずは教えてください。
小島さま:旧システムで大きなトラブルがあり、顧客からセキュリティや再委託に関する説明を強く求められました。当時、旧システム運営元からはユーザー説明よりもIR情報が先行しており、現場に十分な一次情報が届かない状況もあり、当事務所として「安全で説明しやすい基盤」への移行を急ぐ必要がありました。
以前からライトプランで「オフィスステーション Pro」には触れており、AWS基盤やデータの扱い方に納得感があったため、本格移行に踏み切りました。
旧システムのトラブル時には、改善を待つ企業もあったと伺っています。貴社が「完全切り替え」を決断されたのでしょうか?
小島さま:大手や外資系企業の顧問先から、旧システムを安全面の観点から使用しないよう通達があったからです。切り替えを検討する際、「オフィスステーション Pro」と、SOC 2(Service Organization Control 2)を取得している他社給与システムを併用することで、顧問先への説明責任も安全性も果たせると思い、完全切り替えの意思決定を早期におこないました。
切り替えの際に、弊社システムを選定された決め手はどこにありましたか?
小島さま:やはり、セキュリティの安全性です。ベンダーが顧客の個人情報、特定個人情報のデータを取り扱わない「利用規約」であることや、AWSで運用されていることは大きな安心材料でした。さらに「オフィスステーション Pro」は、経済産業省「SaaS対応SLAガイドライン」の方針に沿ったガイドラインを提示してくれました。こうした点が決め手になっています。
切り替え時の弊社サポートデスクの対応はいかがでしたか?
荒井さま:移行期はこちらからの質問事項も多岐に渡りましたが、手続きや設定の要所で丁寧に伴走いただき、実装可能な代替案も迅速でした。データのコンバート対応もあり、給与は他社給与システムを軸にしながら、手続きは「オフィスステーション Pro」で止めない体制を素早く組めました。
アカウント発行とWeb明細で進む“紙→ゼロ”──DX支援講座で提案力を増幅

現在、アカウント発行はどのようにご活用されていますか?
小島さま:新規受託時にまずアカウント発行のご契約を促し、データ収集の起点にしています。マイナンバープラスの活用や、「オフィスステーション 給与明細」の展開を進めています。
荒井さま:「オフィスステーション 年末調整」のアカウント発行社数は、弊所顧問先の約2割で、大手企業での採用率が高めです。また「オフィスステーション 給与明細」については、弊社顧問先の9割くらいは発行済みだと思います。
紙の明細だと1日がかりの現場作業も、Web化で大幅短縮が叶っています。年末調整は今後も拡大を目指して提案していきたいです。
「オフィスステーション 給与明細」の導入率は顧問先の約9割とのことですが、どのように導入提案されることが多いのでしょうか?
荒井さま:最初は「紙の明細が良い」とおっしゃる企業様も多いのですが、「マイページから印刷もできますよ」とお伝えすると、ほとんどのお客様は納得してくださいます。実際に使ってみると便利さを実感していただけるようで、抵抗感は思ったほどありませんでした。
小島さま:中には「もう紙の時代じゃないよね」と言ってくださる経営者の方もいて、意識の変化を感じますね。
荒井さま:約1年かけて、旧システムのWeb明細から「オフィスステーション 給与明細」への切り替えを進めましたが、導入後の評判はとても良いです。直近では、私の担当する顧問先がシステム移行することになり、「『オフィスステーション 給与明細』に切り替えますので、マイページを立ち上げてください」とご案内したところ、スムーズに対応してくださいました。
貴社は、アカウント発行機能をより積極的に提案するための講座「DX支援講座」にもお申し込みをいただいております。こちらの講座にお申し込みいただいた背景や目的について、ぜひお聞かせください。
小島さま:DX文脈の中でも、給与明細や年末調整の電子化は比較的スムーズに受け入れてもらえています。一方で、身上申告書やマイナンバー収集といった“顧客側からデータを集める”部分は、まだ十分に展開しきれていないと感じていました。弊所としても、アカウント発行をキッカケに支援できる範囲をもう少し広げたいと考えています。そのためにも、今後は提案力をさらに高め、より多くのお客様に利用いただけるように促していきたいと思っています。
アカウント発行を活用する中で便利だと思われる機能や、今後活用していきたい機能があれば教えてください。
荒井さま:今、アカウント発行機能で便利だと感じているのは「申請依頼機能」です。公文書が発行された際に、そのままお客様へ送信できる点が非常に効率的でスピード感もあります。現在は1社のみの導入・運用ですが、反応が良いので、今後はほかの顧問先にも広げていきたいですね。
小島さま:退職者に関しては、すぐに削除しなければ離職票を送ることができます。ただし、現状では送信できる文書が限定されているので、契約書など任意文書を扱う場合は「オフィスステーション 労務」との契約が必要になります。自社で作成したPDFを配信できると伺っており、必要な企業にはオフィスステーション 労務のアカウント発行で対応していくことも検討しています。
事務所全員を“できる化”する──Proスクール×人事評価の運用

現在「オフィスステーション Pro」をメインシステムとしてご利用いただいておりますが、このたび、機能習得を目的とした支援サービス「オフィスステーション Proスクール」をご契約いただきました。こちらを契約された目的について教えください。
小島さま:正直なところ、これまで従業員の学習支援はあまり体系化できておらず、属人化していました。それぞれの経験や技量に任せる形が多かったんです。今回初めて、こうした研修の仕組みを積極的に導入することになり、うまく定着していけば良いなと思っています。

荒井さま:弊所は新人スタッフには、OJTで教える形を取っています。また、インプットも、社労士会で配信される講座や、エフアンドエムさんが主催するセミナーなどを、個人で視聴して学んでもらうスタイルでした。
今回「Proスクール」を導入したことで、学習ツールの選択肢が増えた実感があります。今までは自分で情報を探しに行く必要がありましたが、提供される教材を通じて、より効率的に学べるようになったと感じています。
現在、Proスクールをどのように活用されているのか教えてください。
小島さま:全従業員にIDを発行し、空き時間での学習を促しています。申し込みから現在2カ月目なので浸透はこれからですが、職員のレベルを引き上げられたらと思っています。また、習熟度をこちらで把握できる点が非常に良いなと感じており、現在は認定テスト合格者には資格手当を付与するなど、人事評価にもProスクールの学習進捗の度合いを盛り込んでいます。

Proスクールのカリキュラムの満足度はいかがでしょうか?
荒井さま:1つの講座の長さが5分〜10分程度なので、「いま必要な内容」を短時間から学べるのが大変ありがたいです。また、Proスクールのカリキュラムはもともと、「オフィスステーション Pro」のヘルプセンタースタッフ向けの教育カリキュラムをベースに作成されていると聞きました。私たちが「オフィスステーション Pro」を導入した当初は、システム移行業務に無我夢中でしたので、いざ後から説明しようとすると、わからない場面も多いです。その点をProスクールで体系的に学び直せるのは助かっています。
小島さま:現時点でのカリキュラムの満足度は、社内アンケートによると5点満点をつけた者と3点をつけた者がいて、平均すると4点弱といった結果です。今後、季節業務と学習科目の連携が進めば、満足度は4〜5点へ引き上げられると見ています。
今後Proスクールに期待することや、取り組みたいことがあればお聞かせください。
小島さま:まずは自分自身が率先して受講してみようと思っています。業務の合間ではなかなか時間を取りにくいので、今後は事務所全体で時間を決めて一緒に学ぶ機会をつくるのも良いかもしれませんね。
Proスクールは個人でじっくり学ぶのが良いのか、それとも全員で進めた方が効果的なのか、試行錯誤し見出していきたいです。

本日は貴重なお話をありがとうございました!
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