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【調査レポート】14日間で育児卒業?はたらく男性の”まぼろし育休”とは

~ 10/1より育児・介護休業法が改正!職場の空気と育休の形骸化が生んだまぼろし ~

アラカルト型人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」を提供する株式会社エフアンドエム(本社:大阪府吹田市、代表取締役社長:森中 一郎)は、男性の育児休業(以下、「育休」)の取得状況に関する実態調査を実施しました。本調査では、実際に育休を取得した男性を対象にアンケートを行い、本人や周囲の意識、制度設計について分析したところ、男性育休についてまるで「まぼろし」といえるような実態が見えてきました。

男性育休3つのまぼろし(結果サマリー)

  1. 短すぎる育休取得
    男性育休を取得した人のうち、63.5%がわずか14日未満しか取得していない
    職場の空気・上司の理解が理由で、希望の期間の育休が取れない
  2. 育休中も仕事
    育休中も「緊急対応」「欠席できない会議」に追われる
    育休中に業務を行った人は、72.3%にのぼる
  3. 本当に育休をとりたい時期にはとれない
    理想の取得時期は「生後2~4カ月」なのに、実際の取得時期は「出産直後」が58.8%で最多

調査の実施概要

調査機関自社調査
対象エリア日本全国
対象者過去10年以内に育休を取得した、自営業以外の男性2,408名
調査期間2025年9月12日~17日
有効回答①3年以内もしくは以前②1カ月未満もしくは以上を均等に割付した400名

主な調査結果

1.1カ月未満の育休取得者のうち、63.5%が“2週間未満”の超短期取得

1カ月未満の育休取得者の内訳は、「1~2週間未満」が32.0%、次いで「3~6日」が21.6%、「1~2日」が10.0%と、合計63.5%が2週間未満という超短期の取得でした。取得はしているものの、期間は非常に短く、制度の実効性に課題が残ります。

2.男性育休取得者の約4割が「希望の期間より短かった」と感じている

育休期間について「短い」「大幅に短い」と感じた人は38.8%でした。男性育休の取得は近年増加傾向ですが、取得率だけでは測れない“中身の不足”が明らかになりました。

3.希望より短い取得となった理由の54.2%が「職場で取りづらい雰囲気」「上司の理解不足」

「職場で取りづらい雰囲気だった」38.7%、「上司の理解を得られず断られた」15.5%と、直接的な業務ではなく職場の雰囲気による理由が半数超を占めました(複数回答)。育休制度の有無だけでなく、組織文化やマネジメントの課題が浮き彫りになりました。

4.育休中、仕事に時間を費やしていた人は20.8%。そのうち7割以上は1日1時間以上の業務対応

育休中における“育児以外”の過ごし方で多かったのが、「育児以外の家事」 68.3%、次いで「趣味」 24.5%、「仕事」 20.8%(複数回答)でした。さらに仕事をした人の72.3%が1日1時間以上の業務対応をしており、育児だけに専念する期間とはなっていない実態がうかがえます。

5.育休中に仕事をした理由の上位は「緊急対応」「上司への配慮」「欠席できない会議」

仕事をした理由の内訳は、「緊急対応が生じた」が 36.1%、次いで「上司・同僚への配慮から積極的に実施」が 20.5%、「欠席できない会議があった」が 19.3%という結果になりました。直接的な業務だけではなく、配慮や雰囲気によって業務が発生していることが示唆されます。

6.「長かった育休期間」でも、育児以外の時間の過ごし方で最も多いのは「仕事」

育休期間の長短によって、育児以外の過ごし方に差がみられました。
育休期間を長いと感じた層のうち、育児以外の過ごし方で一番多かったのは「仕事」 51.0%、次いで「育児以外の家事」が 49.0%、「副業」が 30.0%となりました。一方育休期間を短いと感じた層のうち、育児以外の過ごし方で一番多かったのは「育児以外の家事」 68.0%、次いで「趣味」が 21.0%、「休養」が 15.0%となりました(複数回答)。
「休み」としては短く、長い場合も「仕事」をしてしまうなど、男性育休のアンバランスな実態がうかがえます。

7.男性育休取得者の約半数が1,000人以上の大企業。100人未満の企業と比べ格差は2.8倍

勤務先規模別では、「1,000人以上」が48.7%、「100人未満」が17.6%でした。規模による取得格差は約2.8倍で、体制や組織風土、代替要員の有無などが依然として影響しています。

8.実際の取得時期は「出産直後」が中心、一方で理想は「生後2~4カ月」

実際の取得時期は出産直後「生後0~2カ月未満」が58.8%で半数を超えました。理想の取得時期は「生後2~4カ月未満」が36.4%と最多で、「出産直後」を選択する人は12.3%でした。取得タイミングのミスマッチが、家事の集中や仕事対応の増加につながる可能性があります。

9.理想取得時期の理由は「妻の体調フォロー」「夜間ケア軽減」「保活調整」が上位

理想取得時期の決定要因は、「妻の体調上のフォロー」 53.9%、次いで「夜間ケアの負担軽減」 36.4%、「慣らし保育・入園調整」 33.8%が上位となりました(複数回答)。体調や負担の軽減、保活や職場のタイミングに合わせて、分割での育休取得や事前調整を行う重要性が示唆されます。

※文中の小数は四捨五入のため、合計が100%にならない場合があります。

その他、男性育休の実態(自由回答より)

  • 3日しかないので焼け石に水程度だった
  • 勤怠管理を日々実施していた
  • 会社携帯で仕事のメールを強要された
  • 育休を取得すると給与が半減するシステムだった
  • 会社からの電話が頻繁にあった
  • 休んでと言う上司が、言うだけで何のフォローもなかった
  • 結局毎週末に職場に行き、溜まっている仕事を片付けた
  • 人事部の人が取得率をあげるために、1週間だけ育休を取得していた

育児「休」業という名称とのギャップ

  • 3時間おきにミルクをあげないといけなかった。寝不足。育児は仕事より大変だった
  • 生後直後から1カ月の間、夜中に何度も吐き戻しをするのが心配で一睡もせずに見守って夜を明かす日々が何回かあり、休みとは言えないなと思った
  • とにかく夜に起こされて休めなかった

その他

  • 自分が治験に参加していた
  • 上司に育休中に資格や英語の勉強を勧められた
  • 育児休業申請のために職場に行かなければいけなかった

まとめ

日本では男性育休の取得率が40.5%※と、初めて4割を超えました。制度整備と社会の後押しによって進んだ成果であり、前年度(30.1%)から10.4ポイントの大幅な上昇です。しかし、今回の調査はまるでまぼろしといえるような“取得の中身の乏しさ”に課題が残ることも示しています。
多くの男性が希望より短いと感じ、短縮理由の半数超は職場の雰囲気や上司の理解不足でした。長期取得者でも育児以外に最も時間を使ったのは仕事であり、育休中も一定の業務対応が発生している実態が明らかになりました。
1カ月未満の取得の短期取得者のうち、2週間未満の超短期取得が多数を占めています。また実際の取得は出産直後に偏る一方で、理想は生後2~4カ月に集中しており、“取りどき”のミスマッチが中身の充実を妨げています。

こうした乖離を埋める鍵は、制度×運用×マネジメントの再設計にあるといえます。具体的には、上司とのコミュニケーションや適切な評価、分割取得を可能にする“取りどき”の再設計(出産直後+生後2~4カ月など)、引継ぎ計画と代替要員の事前確保、会議の設計や連絡の遮断など、育休中の業務を避ける運用などが考えられます。

男性育休は、「取得率」で語る段階から、“必要なときに、必要なだけ、育児に専念できる”設計へと進める必要があります。企業は制度が形骸化しないよう、業務の効率化による時間の確保など、制度設計に踏み込む余白を確保することが重要です。
取得の“量”だけでなく“質”を高めることが、家族のウェルビーイングと組織の持続的な生産性につながります。男性育休をまぼろしで終わらせず、真に機能させるためには、制度と文化、職場と家庭をつなぐ柔軟な運用と理解が求められます。

※出典:厚生労働省「令和6年度 雇用均等基本調査 結果概要」(男性育児休業取得者の割合40.5%/女性86.6%)

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以上

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【会社概要】
当社は「サービスの水道哲学」を掲げ、「価値あるサービスをリーズナブルな価格で」という理念のもと、個人事業主や中堅・中小企業のバックオフィス業務を支援する多様なサービスを提供しています。
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会社名 株式会社エフアンドエム(英文名:F&M CO.,LTD.)
証券コード 4771 (東証スタンダード)
設立 1990年(平成2年)
連結売上高 170億6,637万円(2025年3月期・連結)
従業員数 970人(2025年6月末現在・連結)
URL https://www.fmltd.co.jp/

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