基礎知識
給与明細の発行・配付・交付は義務? 渡さないと違法? 交付方法と合わせて解説

毎月の給与支払と合わせて、給与明細を従業員に交付することは義務であり、渡さない場合は違法となります。
- 給与明細の発行・配付・交付義務や罰則の有無
- 給与明細発行の対象者や期限
- 給与明細の発行方法とそのメリット・デメリット
- 給与明細の交付は義務であり、不交付の場合は罰則が適用
- 給与明細の紙交付はリスクが高く、コスト削減・業務効率化の観点からもWeb給与明細が注目されている
目次
給与明細の発行・配付・交付義務について
会社から従業員への給与明細の発行・配付・交付義務に関しては、法律(所得税法)で義務付けられています。
給与明細の交付期限
給与明細には交付期限があり、所得税法施行規則100条1項の定めによると、給与明細は給与の「支払いの際」に、その支払いを受ける者に交付しなければならないとされています。
つまり、給与の支払日が25日の場合、給与明細は毎月25日までに交付をする必要があるということです。
また、給与明細の内容として、給与や退職手当などの詳細、その控除額を含む一定の項目を従業員に通知しなければならないことが規定されています。

給与明細の交付対象者|パート・アルバイトは?
給与明細は、給与を受け取る全ての従業員に交付が必要です。
これは、所得税法によって給与明細の交付が義務付けられており、交付対象者は「給与明細を受け取る者」とされているためです。
また、正社員とパート・アルバイトの区別はされていないため、給与支払いが発生した従業員全員の給与明細の発行と配付対応が必要となります。
給与明細の不交付の罰則
給与明細は従業員への交付が必須の書類であるため、給与明細の不発行は所得税法違反となり罰則が適用されます。
給与明細の不交付や、虚偽の記載をして交付をした場合、所得税法242条7号の規定により、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。
なお、給与明細の交付遅延による罰則はありませんが、しかるべき時期に毎月発行できるよう、仕組み化・自動化しておく必要があるでしょう。
給与明細の保管
給与明細を従業員に渡した後は、企業側での給与明細の保管は不要です。
ただし、給与計算をする際に必要な情報が記載されている下記の書類は保管が必要となります。
- 出勤簿:完結の日(記録した日)から3年間 ※助成金等の申請をしている場合は5年
- 扶養、保険、配偶者特別控除に関わる書類:法定申告期限から7年
扶養、保険、配偶者特別控除に関わる書類とは、賃金台帳(源泉徴収簿)、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書などを指します。
書類の種類が多く、従業員が多いほど保管・管理が大変となるため、紙ではなくクラウドによる管理(電子化・ペーパーレス化)がおすすめです。

義務である給与明細の発行・配付・交付方法
発行が義務である給与明細の発行・配付・交付方法として以下が挙げられます。
- 紙での交付
- データでの交付 ※推奨
以下、それぞれの詳細や手順、メリット・デメリットなどについて解説します。
紙の給与明細の交付
多くの会社が給与支払日に紙の給与明細を交付していますが、紙で交付をすると多くの手間・コストがかかります。
印刷用紙やプリンター、印刷後にシールを貼るなどの作業が発生するだけでなく、各事業所への郵送・配付コストなど、多くのデメリットが挙げられます。
社員数の増加と比例して費用がかかることはもちろん、給与明細は個人情報を含む機密情報であるため、紛失・盗難リスクにも備える必要があるでしょう。
また、在宅勤務やテレワークを導入する企業が増えていますが、手渡しが難しくなります。
従業員の自宅へ郵送する必要があり、さらなる郵送コストが負担となる企業が増えるでしょう。
給与明細データでの交付
2007年1月の所得税法改正により、給与明細や賞与明細、源泉徴収票の電子配付が法的に認められるようになりました。
給与計算ソフトの導入による給与計算の自動化は、既に多くの企業で導入されていますが、給与明細の電子化についてはこれから対応する企業が多く、新たなコスト削減および業務効率化の手段として注目されています。
給与明細をデータ交付に変更することで、社内の業務フローを変えることなく処理速度と正確性を上げることが可能となります。
クラウド化システムを導入し給与明細関連の処理を自動化することで、給与明細の発行・配付・交付が適切に行われることはもちろん、人件費やコスト削減、リスク軽減が期待できるでしょう。
給与明細の従業員への交付は義務:まとめ
給与明細には交付期限があり、給与を受け取る全ての従業員に給与支払日までに交付する必要があります。
- 給与明細の不交付は、所得税法242条7号の規定により、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される
- 従来の紙の給与明細はコストやリスクの観点からデメリットが多いため、クラウド型システムの導入による給与明細の電子化・データ交付が注目されている
給与明細の作成義務を確実に守るためには、給与明細システムの導入がおすすめです。
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