基礎知識
有給休暇管理簿の内容や対象者、保存・管理方法とは? 作成しないと罰則がある?

2019年(平成31年)4月に年次有給休暇の取得が義務化されたことにより、年次有給休暇管理簿の作成も義務となりました。
- 有給休暇管理簿の内容や保存方法と管理方法
- 有給休暇管理簿の作成を怠った場合の罰則
- 有給休暇の管理にかかるコストや手間を大幅削減する方法
本稿では、以下のポイントを意識すると理解が深まります。
- 有給休暇管理簿の作成は義務
- 有給休暇管理簿を上手く活用すると有休管理が簡単におこなえる
- クラウドソフトを活用した有給休暇管理簿の作成を検討する
以下で詳しく解説します。
目次
作成義務がある『年次有給休暇管理簿』とは
年次有給休暇管理簿とは、労働者ごとに有している有給休暇の管理をするための資料です。2019年(平成31年)4月の有給休暇取得の義務化に伴い、有給休暇管理簿の作成・保存も義務付けられました。

年次有給休暇管理簿の内容
年次有給休暇管理簿では、以下の3つを記載します。
- 基準日(有給休暇の権利発生日)
- 日数(取得した有給休暇の日数)
- 時季(有給休暇を取得した日付)
必ず記載しなければならない内容ではありませんが、従業員ごとの有給休暇付与日数もあわせて記載しておきましょう。
▼有給休暇管理簿の作成例
年次有給休暇取得日 | 基準日 | 2020年4月1日 | ||
---|---|---|---|---|
付与日数 | 10日 | |||
取得日数 | 5.5日 | |||
有給休暇取得日 | 2020年4月10日 | 2020年4月21日 | 2020年5月20日 | |
2020年6月4日 (午後半休) |
2020年6月5日 | 2020年7月6日 |
【参考】年5日の年次有給休暇の確実な取得わかりやすい解説−厚生労働省
新入社員や中途社員などに年間2度の基準日を設けている場合、基準日は両方の日付を年次有給休暇管理簿に記載する必要があります。
日数は、その年に取得した有給休暇日数の合計を記入します。
取得期間が1日である場合は全休、半日である場合は半休扱いになるため、記載時は全休である場合は1日、半休である場合は0.5日と記します。
また、取得期間が数時間である場合は記載する義務はありません。
時季は具体的な取得日を記載する必要があります。
全休か半休か、また時間単位での取得などを記載できる様式を採用すると、正確性の高い管理簿を制作できます。

年次有給休暇管理簿の作成対象者
有給休暇管理簿の作成対象者は、有給休暇が付与された全従業員が対象となります。
※勤続勤務年数が半年以上かつ全労働日の8割以上出勤している従業員には、10日以上の有給休暇を付与する必要があります。

年次有給休暇管理簿の作成を怠った場合の罰則・罰金
有給休暇管理簿の作成を怠った場合でも、労働基準法第109条にある重要な書類に該当しないため、罰則や罰金は原則ありません。
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
【引用】第109条│労働基準法
ただし、有給休暇を10日以上付与しなければならない従業員に対し、年5日以上有給休暇を取得させなかった場合は、従業員1人あたり30万円以下の罰金を支払わなければなりません。
また、企業の社会的評価が下がる危険性もあるため、企業には徹底した有給休暇の管理が求められます。
年次有給休暇管理簿の作成時期・期限
有給休暇管理簿は通常、各年度最初の基準日に作成します。
また、作成期限は基準日から1年間とされています。
例えば、基準日が2020年4月1日だった場合、2021年3月31日が作成期限です。
年次有給休暇管理簿の作成・保存・管理方法
有給休暇管理簿は、必要な項目(時期・日数・基本日)が記載してあれば、紙やエクセル、クラウド管理ソフトなど、作成・保存・管理の方法は何でもOKです。
しかし、対象となる全従業員分の膨大なデータを管理しなければならないため、紙やエクセルでは時間と労力がかかります。
また、従業員から送られてきた紙やメールなどの申請情報をもとに管理簿に転記する作業の際、人的ミスが発生するリスクもあります。
そのため、正確かつラクに管理したいのであれば、圧倒的にクラウド型有休管理ソフトの導入がおすすめです。
年次有給休暇管理簿の保存義務
作成した有給休暇管理簿には保存義務があり、有給休暇を与えた期間中とその後3年間が保存期間です。
労働者名簿や賃金台帳と合わせた作成
有給休暇管理簿は、労働者名簿や賃金台帳と合わせて作成することもできます。
- 労働者名簿:従業員の氏名や採用日などの情報を記した書類
- 賃金台帳:従業員の賃金や交通費手当、税金などを記載する帳簿
これらの帳票に有給休暇管理簿の必要事項(基準日・日数・時季)を盛り込んだ表を追加することで、まとめての作成が可能です。
各事業所に合った管理しやすい方法を採用しましょう。
有給休暇管理簿の作成・保存に伴うトラブルと対処法
有給休暇管理簿作成・保存の義務化によって、以下のトラブルが想定されます。
- 有給休暇管理簿の理解が乏しく作成ミスを誘発
- 従業員の有給休暇状況を確実に把握できない
- 作成に時間がかかり担当者の時間外労働が増加する
このようなトラブルを回避するために、以下のような対処をおこなっておきましょう。
- 有給休暇管理簿について理解度を深める
- 管理簿の作成時間が削減できる適切な管理方法を選定する
- 従業員の有給休暇状況を簡単に把握できるクラウド管理ソフトを導入する
管理簿の作成で有給休暇(有休)の適切な把握を:まとめ
2019年(平成31年)4月より有給休暇管理簿の作成が義務となりました。
今後より一層、確実な有給休暇管理が必要です。
- 有給休暇管理簿には、時季・日数・基準日を必ず記載する
- 有給休暇管理簿は有休取得時から1年以内に作成し、有給休暇日以後3年間の保存が必要
- 労働者名簿や賃金台帳と合わせての作成も可能である。
- 作成を怠った場合の罰則や罰金は明示されていないが、有給休暇を年5日取得させなかった場合は、従業員1人あたり30万円以下の罰金が課される。
- 管理方法のツールは不問だが、クラウド管理ソフトが便利。
「オフィスステーション 有休管理」を使えば、有給休暇の管理や取得催促をよりカンタンに、確実に実施できます。
初期費用0円から始められ、法改正にも自動で対応できるため、有給休暇取得義務化に伴うリスクを確実かつラクに対処することが可能です。
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