基礎知識
年収450万円のふるさと納税の限度額は〇〇万円、上限を越えずにミスなく寄付する方法

- 【1分でわかる】ふるさと納税の「限度額」とは何か?
- 限度額はどうやって確認するのか(計算式と早見表)
- 100円単位でふるさと納税の限度額を求める方法
ふるさと納税を利用されている会社員の方も増えてきていますが、利用の際に「自分はいくらまで寄付することが可能なのか」という点で不安になることもあるかと思います。うっかり上限を超えて寄付してしまうと、寄付が税額から差し引きされず、自己負担になってしまうこともあります。そこで、ふるさと納税後に後悔することがないよう、事前にふるさと納税の限度額を確認する方法をまとめました。
目次
ふるさと納税の限度額とは
一目でわかる、「ふるさと納税の限度額」を図解
ふるさと納税は、地方自治体におこなった寄付の額が、その後の所得税・住民税から差し引かれる制度です。ただし、寄付すれば寄付するほど税金が安くなるわけではなく、税金から差し引かれる金額には「上限」が存在します。
この上限を図示すると以下のとおりです。ふるさと納税の寄付額には、大きく分けて所得税額から控除されるもの(図①)と、住民税から控除されるもの(図②、③)が存在します。また、ふるさと納税を利用するには2,000円を自己負担する必要があるため、「①+②+③+2,000円」の合計額がふるさと納税の限度額の内訳となります。
ふるさと納税の限度額を超えるとどうなるのか?
上限を超えた寄付額については税金から差し引かれないため、自己負担分が発生します。
ただし、全額が自己負担となるわけではありません。仮に、限度額が3万円の方が4万円を寄付した場合、全額が自己負担となると自己負担額の合計は「オーバーした1万円+もともとの自己負担額2,000円=合計1万2,000円」となりますが、実際の自己負担額は1万2,000円よりも小さくなります。
とはいえ、自己負担を2,000円だけにして寄付するためには、事前に限度額を確かめることが重要です。
限度額は何によって決まるのか?
会社員の場合 、ふるさと納税の限度額は、主に以下3つの要素に左右されます。
- 年収
- 家族構成
- 利用している控除制度
さらに細かくいうと、以下のようになります。
- 年収が高いほど限度額は高くなる
- 配偶者控除や扶養控除を受けている家族がいるほど限度額は低くなる
- ほかの控除制度の控除額が高いほど限度額は低くなる
上記を前提に、家族構成から考えた場合は、基本的に以下の順に限度額が大きくなります。※
独身者または共働き>夫婦>共働き+子ども(高校生/大学生)>夫婦+子ども(高校生/大学生)
※「共働き」は、ふるさと納税をおこなう方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します。
※「夫婦」は、ふるさと納税をおこなう方の配偶者に収入がないケースを指します。
※中学生以下の子どもは控除額に影響がないため、計算に入れる必要はありません。
参考:
ふるさと納税の概要
ふるさと納税の流れ
ふるさと納税の限度額を確認するには
ふるさと納税の限度額の計算式
まず、ふるさと納税のおおまかな限度額は、以下の計算式から求められます。
- 住民税所得割(※1)×20%
- ふるさと納税額<(100%-10%(基本分)-所得税率(※2)×復興税率(※3))+2,000
参考:税金の控除について
※1 住民税所得割とは:
住民税の所得割額は、所得金額に比例して課税される住民税額のことをいいます。以下の計算式によって求められ、税率は一般的に10%となっています。
所得割額 = (前年の総所得金額等 - 所得控除額) × 税率 - 税額控除額
参考:個人住民税
※2 所得税率とは:
所得税率は所得金額によって5%から45%の7段階に区分されます。詳細は以下から確認可能です。
参考:所得税の税率
※3 復興税率とは:
復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興財源に充てるため、2013年1月1日~2037年12月31日まで、通常の所得税に上乗せして徴収される特別税で、税率は2.1%です。
参考:復興特別所得税の源泉徴収
ざっくりとした限度額を求める早見表
前述のとおり、ふるさと納税の限度額は家族構成によって異なります。
総務省は家族構成を考慮した限度額の早見表を公開しており、この表でみると、年収450万円の会社員の限度額は2万8,000円~5万2,000円であることがわかります。
ただし、総務省の早見表は「住宅ローン控除や医療費控除など、ほかの控除を受けていない給与所得者」を想定した目安となっています。必ずしも正確な金額ではないことに注意しましょう。
▼総務省の公開する早見表(一部)
ふるさと納税を行う方本人の給与収入 | 独身又は共働き※1 | 夫婦※2 | 共働き+子1人(高校生※3) | 共働き+子1人(大学生※3) | 夫婦+子1人(高校生) | 共働き+子2人(大学生と高校生) |
300万円 | 28,000 | 19,000 | 19,000 | 15,000 | 11,000 | 7,000 |
325万円 | 31,000 | 23,000 | 23,000 | 18,000 | 14,000 | 10,000 |
350万円 | 34,000 | 26,000 | 26,000 | 22,000 | 18,000 | 13,000 |
375万円 | 38,000 | 29,000 | 29,000 | 25,000 | 21,000 | 17,000 |
400万円 | 42,000 | 33,000 | 33,000 | 29,000 | 25,000 | 21,000 |
425万円 | 45,000 | 37,000 | 37,000 | 33,000 | 29,000 | 24,000 |
450万円 | 52,000 | 41,000 | 41,000 | 37,000 | 33,000 | 28,000 |
475万円 | 56,000 | 45,000 | 45,000 | 40,000 | 36,000 | 32,000 |
500万円 | 61,000 | 49,000 | 49,000 | 44,000 | 40,000 | 36,000 |
525万円 | 65,000 | 56,000 | 56,000 | 49,000 | 44,000 | 40,000 |
550万円 | 69,000 | 60,000 | 60,000 | 57,000 | 48,000 | 44,000 |
575万円 | 73,000 | 64,000 | 64,000 | 61,000 | 56,000 | 48,000 |
600万円 | 77,000 | 69,000 | 69,000 | 66,000 | 60,000 | 57,000 |
625万円 | 81,000 | 73,000 | 73,000 | 70,000 | 64,000 | 61,000 |
650万円 | 97,000 | 77,000 | 77,000 | 74,000 | 68,000 | 65,000 |
675万円 | 102,000 | 81,000 | 81,000 | 78,000 | 73,000 | 70,000 |
700万円 | 108,000 | 86,000 | 86,000 | 83,000 | 78,000 | 75,000 |
725万円 | 113,000 | 104,000 | 104,000 | 88,000 | 82,000 | 79,000 |
750万円 | 118,000 | 109,000 | 109,000 | 106,000 | 87,000 | 84,000 |
775万円 | 124,000 | 114,000 | 114,000 | 111,000 | 105,000 | 89,000 |
800万円 | 129,000 | 120,000 | 120,000 | 116,000 | 110,000 | 107,000 |
825万円 | 135,000 | 125,000 | 125,000 | 122,000 | 116,000 | 112,000 |
850万円 | 140,000 | 131,000 | 131,000 | 127,000 | 121,000 | 118,000 |
875万円 | 146,000 | 137,000 | 136,000 | 132,000 | 126,000 | 123,000 |
900万円 | 152,000 | 143,000 | 141,000 | 138,000 | 132,000 | 128,000 |
925万円 | 159,000 | 150,000 | 148,000 | 144,000 | 138,000 | 135,000 |
950万円 | 166,000 | 157,000 | 154,000 | 150,000 | 144,000 | 141,000 |
975万円 | 173,000 | 164,000 | 160,000 | 157,000 | 151,000 | 147,000 |
1000万円 | 180,000 | 171,000 | 166,000 | 163,000 | 157,000 | 153,000 |
※1 「共働き」は、ふるさと納税を行う方本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケースを指します。
※2 「夫婦」は、ふるさと納税を行う方の配偶者に収入がないケースを指します。
※3 「高校生」は「16歳から18歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指します。また、中学生以下の子どもは控除額に影響がないため、計算に入れる必要はありません。たとえば、「夫婦子1人(小学生)」は「夫婦」と同額になります。
参考:税金の控除について
100円単位で限度額を求める方法
正しい限度額を求めるために必要な情報
年収や家族構成をベースにしたざっくりとした限度額は、計算式や早見表などから求めることができますが、これらからは本当に正確な限度額を確かめることが難しいもの。正確な限度額を求めるには、年収・家族構成以外にも、以下の金額を加味する必要があるためです。※
- 株式譲渡益
- 寡婦控除
- 障害者控除
- 社会保険料
- 小規模企業共済等掛金
- 生命保険料
- 地震保険料
- 医療費控除
- 住宅借入金等特別控除
※ 株式譲渡益、医療費控除等、会社に申告しない場合もあります。
年末調整と同時に100円単位で限度額を算出するには
上記の情報は、会社員が年末調整をおこなう際に、会社に申告する内容です。つまり、基本的には年末調整をおこなう際に、ふるさと納税の正確な限度額を求められるということになります。
ただし、年末調整で提出した情報をもとに、独自で計算式やシミュレーションを使って限度額を出したとしても、間違った額が示されることが考えられます。これは、年末調整の用紙には専門用語が使われており、しっかりとした知識を持つ方でないと正しい内容を理解するのが難しいためです。
このような課題を解決するため、「年末調整を終えると同時に、ふるさと納税の限度額を100円単位で示すことを可能にするサービス」もあります。たとえば、PCやスマホから年末調整を完了できるクラウドシステム「オフィスステーション 年末調整」の場合は、カンタンな質問に答えていくだけで、年末調整を完了させ、同時に年末調整の限度額を知ることが可能です。
所得の自動計算機能やチェック機能なども搭載しているので、限度額を間違えて出してしまうことがなく、安心してふるさと納税をおこなうことが可能になります。
このような「オフィスステーション 年末調整」のふるさと納税機能の使い方やサービス詳細については、以下のボタンからお問い合わせください。
まとめ
ふるさと納税の限度額は、計算式や早見表から大まかに算出することが可能ですが、正確な額は年末調整の際に会社に申告する各種控除額などを使い求める必要があります。
限度額ギリギリまでふるさと納税をおこないたい方は、年末調整の時期に、配偶者控除や扶養控除、生命保険料控除、住宅ローン控除など、各種控除の情報が集まってからふるさと納税の限度額を算出しましょう。
その際、誤認識・誤入力を防ぐためには、各種限度額シミュレーションを利用するほか、以下のように限度額を自動で算出できる年末調整システムも役立ちます。
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