基礎知識

年末調整の提出期限は?スケジュール、期限遅れや期限後訂正時の対応まとめ

更新日:

年末調整は、原則として企業(雇用主) の義務であり、故意に怠った場合、企業は脱税行為として10年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金 を科される可能性があります。

この記事で分かること
  • 年末調整の提出期限・スケジュール
  • 給与報告書(総括表および個別明細書)の作成方法とダウンロード先
  • 提出が遅れた場合や、提出後に内容を変更する場合の対応
  • 年末調整を怠った場合に科される罰則
  • 年末調整の期限に伴うトラブルと対処法

本稿では、以下のポイントを意識すると理解が深まります。

この記事で意識しておきたいポイント
  • 年末調整関係書類の提出期限が遅れると、数日は待ってもらえるが、それ以降は従業員ごとに確定申告をおこなってもらう
  • 社内で年末調整を終えた後に書類内容を変更することは可能だが、 1月31日以降は従業員ごとに確定申告をおこなってもらう

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年末調整の提出期限

年末調整の書類提出期限は翌年1月31日、源泉所得税の納付期限は翌年1月10日です。
期限を遵守するために、社内での書類回収や計算は早めに終わらせておくことが大切です。

年末調整のスケジュール

年末調整関連業務は、おおよそ下記のスケジュールで進めます。

企業 従業員
11月 ・年内に支払う給与の確定
・申告書や証明証などを依頼・回収
・修正依頼等の個別対応
・申告書や証明証などの提出
・不備の修正
12月 ・年末調整の計算
・所得税の過不足分の還付または追加徴収
・ 年末調整関連書類の準備(法定調書・支払調書・源泉徴収票など)
1月 ・源泉所得税の納付
・税務署への年末調整関係書類の提出
・自治体への住民税関係書類の提出
・年末調整関連書類の保管

[ 11月に企業がおこなう年末調整業務 ]

・年内に支払う給与のを確定
毎月の給与・賞与を含む年間の給与を確定させます。
たとえば、末締め翌月25日払いの場合、11月末には年内に支払う給与が確定しているはずです。
確定した時点で、従業員に申告書・証明書の提出を促し始めましょう。

・申告書や証明書などの依頼・回収
従業員に申告書や証明書の記入・提出を促し、回収します。

・修正依頼等の個別対応
従業員から提出のあった申告書や証明書に誤り・不備があった場合は、従業員ごとに修正・再提出依頼などの対応をする必要があります。

[ 12月に企業がおこなう年末調整業務 ]

・年末調整の計算
申告書や証明書から控除額が分かったら、従業員の所得税を計算します。

・所得税の過不足分の還付または追加徴収
給与から天引き(源泉徴収)している所得税と、年間所得に応じた正しい所得税の差額を、上乗せまたは差し引いて12月分の給与を従業員へ支払います。

年末調整の計算方法とは?必要書類や計算の流れ・手順をカンタン解説
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年末調整の過不足の計算方法とは? 不足額の徴収と過納額の還付の方法も解説
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[ 1月に企業がおこなう年末調整業務 ]

・源泉所得税の納付
年末調整で確定した所得税を、翌月1月10日までに管轄の税務署に納付します。

・自治体への住民税関係書類の提出
『給与支払報告書』を翌年1月31日までに所轄の自治体(市区町村)へ提出します。

・年末調整関連書類の保管
年末調整関連書類は、翌年1月10日の翌日から7年間保存することが定められています。
税務署長の求めにより、提出が必要となることがあります。

年末調整関連の申告書や提出書類の書き方は? 書く前に準備すべき書類も紹介【見本付き】

従業員の住んでいる市区町村の数だけ、給与支払報告書を作成するため、その数が増えるほど、労務管理の負担は大きくなるでしょう。

給与支払報告書のダウンロード
※総務省の公式HPからのダウンロードとなります。

【参考】No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間│国税庁
【参考】「給与支払報告書」の概要│品川区役所

従業員の申告書提出期限

年末調整では、従業員に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を必ず提出してもらう必要があります。

社内での提出期限は、その年の最初に給与の支払いを受ける日の前日(転職者は転職後の最初の給与日の前日)です。

所得控除などに必要な証明書は、11月中旬〜下旬を目処に提出してもらいましょう。
チェック作業のために早めの提出を促すことをおすすめします。

【参考】[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告│国税庁

年末調整を退職時に行うケース

通常、退職者の年末調整をおこなうことはありません。
従業員が再就職した場合は、再就職先の会社で年末調整をおこないます。

しかし、以下のケースでは「再就職の見込みがない」と判断できるため、退職時に年末調整をおこないます。

退職時に年末調整を行う必要がある従業員
  • 亡くなった人
  • 著しい心身の障害のために退職した人(退職した後に再就職をし、給与を受け取る見込みのある人は除く)
  • 12月に支給されるべき給与などの支払いを受けた後に退職した人
  • パートタイム・アルバイトなどが退職した場合で、本年中に支払う給与の総額が103万円以下の人(退職後その年にほかの勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除く)

【参考】No.2665 年末調整の対象となる人│国税庁

年末調整を出国時におこなうケース

以下の2つを満たす場合、年の途中であっても海外へ出国する日まで に年末調整をおこないます。

出国日までに年末調整をおこなう場合の要件
  • 海外支店などに転勤したことにより、国内に住んでいない (海外に住むことが決まっている)
  • 年内に支払いが確定した給与などの支給額が2,000万円以下である

なお、年の途中ではなく、1年間を通して海外で勤務している人(非居住者)は、企業側ではなく本人に確定申告をおこなってもらいます。

年末調整の還付時期

所轄の税務署から還付金が戻ってくる時期の目安は、12月〜1月です。
基本的には、年末調整を完了させた時期が早いほど、還付も早くなります。

年末調整の提出期限に間に合わない・提出が遅れた場合の対応

従業員の提出遅れが原因の場合と、企業側の提出遅れが原因の場合に分けて、対応方法を解説します。

従業員の提出が間に合わない・遅れた場合

社内で定めている提出期限に遅れても、企業が税務署へ法定調書を提出する1月31日に間に合う場合は、法律上問題はありません。
1月31日に間に合わなかった場合は、従業員個人で確定申告をおこないってもらいます。
確定申告の提出時期は、原則2月16日から3月15日です。

確定申告の期限に遅れると、従業員は『無申告加算税』や『延滞税』などのペナルティを科される可能性があります。

確定申告遅れのペナルティ(従業員)
  • 無申告課税:本来の納税額に加え、15%〜20%の追加税を支払わなければなりません。
  • 延滞税:年7.3%〜14.6%の追加税を支払わなければなりません。

【参考】No.2024 確定申告を忘れたとき│国税庁
【参考】No.9205 延滞税について│国税庁

企業の提出が間に合わない・遅れた場合

万が一、企業の提出が1月31日に遅れても、罰則を受けることはありません。
数日間の遅れであれば、所轄の税務署へ連絡しておくことで提出を待ってもらえることが一般的です。

大幅に遅れた場合は、従業員一人ひとりに確定申告をおこなってもらわなくてはなりません。
また、年末調整を怠った場合、脱税として10年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科される可能性があります。

年末調整の提出期限後にやり直したい場合

11月頃に従業員から書類を回収してから、12月31日までに状況が変わった場合、年末調整をやり直す必要があります。
※1月1日以降は、翌年の年末調整での対応

法定期限の1月31日までに提出に間に合う場合、年末調整のやり直しは可能です。
1月31日以降の場合、従業員個人で確定申告をおこなってもらいます。

訂正・変更の必要が生じるケース
  • 所得控除に変更があった場合
  • 給与・賞与の追加支払いがあった場合

所得控除の変更

以下のような所得控除に関する変更があり、還付金が発生する場合には訂正が必要です。

所得控除に関する変更の例
  • 扶養人数の変更
    結婚・出産・離婚などの理由で扶養人数の変更があった場合、年末調整を訂正します。
  • 保険の加入
    新たに保険に加入し、生命保険料や地震保険料を支払った場合、所得税が増えるため年末調整を訂正します。

一方で、申告書の内容に誤りがあり、追加の徴収が発生する場合、直ちに年末調整をやり直し、不足分を納付しなければなりません。

給与・賞与の追加払い

給与・賞与の追加支払いがあった場合は、所得税の不足分を徴収しなければなりません。
企業側の都合のため、企業側での処理が基本です。

年末調整の提出期限に伴うトラブルと対処法

年末調整の提出期限に伴うトラブルと対処法

企業は、提出期限に間に合うよう、年末調整業務を実施しなければなりません。

年末調整の提出期限に伴い想定されるトラブル
  • 関係書類の算出・作成による工数増加
  • 従業員の問い合わせや書類提出の対応
  • 計算ミスによる金銭トラブル
  • 訂正・変更の必要が生じた場合や今後の法改正に伴う再対応

想定できるトラブルを防ぐため、以下の対処をおこないましょう。
トラブルの対処方法
  • 従業員への説明および書類提出の案内
  • 人的ミス防止や業務簡略化のため電子申請システムの導入

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年末調整の提出期限:まとめ

年末調整の提出期限:まとめ

企業には、従業員の年末調整を正しく計算し、期限までに申請する義務があります。

年末調整の期限・スケジュールについて
  • 年内の給与が確定した時点で、関係書類の作成・提出を促し始める
  • 年末調整の最終的な期限は1月31日、それ以降は個別の確定申告が必要
  • 社内で書類を回収してから12月31日までに所得控除や給与・賞与の変更があった場合、年末調整の変更は可能

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