基礎知識
ふるさと納税は年末調整で控除できる? 年末調整担当者が知っておくべき従業員対応まとめ

都道府県や市区町村などの自治体に寄附をする「ふるさと納税」をおこなうと、寄附金控除の申告をおこなうことができます。
ふるさと納税の申告について、「年末調整で控除してもらえる?」「いくらまで寄附が可能か確認したいけれど、その方法がわからない」などの疑問を抱く従業員も多いのではないでしょうか。
ここでは年末調整の担当者を対象に、従業員の疑問や負担を解消するために知っておきたい知識・対応についてご紹介します。
- ふるさと納税は年末調整で控除できる?
- ふるさと納税について年末調整担当者が知っておくべき4つのポイント
- ふるさと納税と年末調整に関するトラブルと対処法
目次
ふるさと納税をした従業員への年末調整の対応は?
ふるさと納税とは、従業員が選んだ自治体に寄付をおこなった場合に、寄付額のうち一定額を超える金額が、所得税と住民税から控除される制度です。
ふるさと納税は年末調整で控除できる?
結論からいうと、ふるさと納税の控除は年末調整では対応せず、従業員が自分で確定申告をおこなう必要があります。年末調整で控除できるものの例は以下のとおりです。
- 基礎控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除 など
しかし、控除の対象外だからといって「年末調整担当者はふるさと納税について知らなくていい」わけではありません。
年末調整に慣れていない従業員が、忙しい年末調整の時期に、年末調整の担当部署へ問い合わせてくることが考えられるためです。
問い合わせの対応に時間がかかると、担当者の通常業務が滞る懸念もあります。そんなときに、ふるさと納税の申告方法について理解していれば、時間を無駄にせずスムーズに従業員へ説明できます。
そこで、従業員への説明に備えて、年末調整担当者が知っておくべきふるさと納税の知識について詳しくご紹介します。
ふるさと納税について年末調整担当者が知っておくべきこと
ふるさと納税は基本的に以下の流れでおこないます。いずれも、ふるさと納税をおこなうご自身で作業をしてもらう必要があります。
ふるさと納税の限度額について
上記で説明したとおり、ふるさと納税は地方自治体におこなった寄付の額が、その後の所得税・住民税から差し引かれる制度です。ただし、寄付すれば寄付するほど税金が安くなるわけではなく、税金から差し引かれる金額には「上限」が存在します。
この上限を図示すると以下のとおりです。
限度額の計算と寄付について
限度額の概算を確認する方法
ふるさと納税のおおまかな限度額は、以下の計算式から求められます。
住民税所得割×20%
ふるさと納税額<(100%-10%(基本分)-所得税率×復興税率)+2,000
【参考】総務省 | ふるさと納税のしくみ | 税金の控除について
なお、上記の計算式は、専門用語が並び、慣れていないと難しいと感じる方もいるはず。そのような方は、以下のページから早見表などを確認することもできます。

限度額をカンタンに計算するには
寄付金の限度額を正確に確認するには、年収・家族構成に加え以下の金額を加味する必要があります。※
- 株式譲渡益
- 寡婦控除
- 障害者控除
- 社会保険料
- 小規模企業共済等掛金
- 生命保険料
- 地震保険料
- 医療費控除
- 住宅借入金等特別控除
控除額などによって限度額は異なるので、年末調整で使う情報をもとに、個々の従業員に算出してもらいましょう。そのうえで各Webサイトから寄付をおこないます。
限度額の計算は、慣れていないとわかりづらく、ミスが発生しやすい部分ですが、「年末調整を終えると同時に、ふるさと納税の限度額を1円単位で示すことを可能にするサービス」などを利用すれば従業員の負担が少なく、年末調整担当者への問い合わせも減らせます。
たとえば、PC・スマホから年末調整を完了できる「オフィスステーション 年末調整」なら、カンタンな質問に答えるだけで、年末調整の完了とふるさと納税の限度額の確認を同時におこなうことができます。自動計算機能やチェック機能なども搭載しているので、専門知識や申告経験が少なくても、安心してふるさと納税に対応できます。
「オフィスステーション 年末調整」のふるさと納税機能の使い方やサービス詳細については、以下からご確認ください。
オフィスステーション ふるさと納税 | 限定特典が受けられるふるさと納税サービス
https://www.officestation.jp/nencho/furusato-tax/
控除のための手続きについて
原則として、ふるさと納税の控除は寄附をおこなった翌年に、個々の従業員が自身で確定申告をおこなう必要があります。
また、一定の要件を満たす場合に限り、従業員がふるさと納税をおこなった各自治体に申請することで、ふるさと納税ワンストップ特例制度が適用されます。
- ふるさと納税をおこなった翌年の3月15日までに、従業員が確定申告をおこなう
- 従業員がふるさと納税をおこなう際、自治体にワンストップ特例制度を申請する
ふるさと納税の控除は会社の年末調整では対応できないため、従業員へ確定申告またはワンストップ特例制度の利用を促してください。
ワンストップ特例制度とは
ワンストップ特例制度とは、以下の要件を満たした場合、確定申告をおこなわなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる制度です。
- 確定申告が不要な給与所得者
- ふるさと納税先の自治体数が5団体以内
- ふるさと納税先の自治体に特例の適用に関する申請書を提出する
- ふるさと納税をおこなう際に、ワンストップ特例申請書を提出する
- 納税先の自治体から住所地市区町村に、控除に必要な情報が共有
- 住所地市区町村から、ふるさと納税をした翌年度の住民税から控除(減額)
【参考】総務省 | ふるさと納税トピックス | 制度改正について
ワンストップ特例制度の適用を受けた場合、所得税からの控除は発生せず、翌年度の住民税の減額という形で控除がおこなわれます。
確定申告について
従業員がふるさと納税の寄附金控除を受けるためには、原則として寄附をおこなった翌年の3月15日までにご自身で所轄の税務署へ確定申告してもらう必要があります。
確定申告書の提出は、e-Taxで申告するか、所轄の税務署へ郵送または持参します。
- 自治体にふるさと納税をおこなう
- ふるさと納税先の自治体から受領書を受け取る
- 原則、寄附をした翌年の3月15日までに所轄の税務署へ確定申告をおこなう
- ふるさと納税をおこなった年分の所得税から控除
- ふるさと納税をおこなった翌年度分の住民税から控除(減額)
【参考】総務省 | ふるさと納税のしくみ | 税金の控除について
ただし、年末調整等により所得税が0円になっている場合は、住民税に関する申告書をお住まいの市区町村に提出する必要があります。
控除額の確認について
控除額は、住所地の自治体が前年の所得を元に算出され送付する「住民税決定通知書」で確認できます。従業員の場合は住民税を源泉徴収する勤務先に送付されます。
ふるさと納税と年末調整に関するトラブルと対処法
ふるさと納税と年末調整に関連して、以下のようなトラブルが想定されます。
- 他控除申告書との混合
- ふるさと納税の控除に関する従業員からの問い合わせ対応
- ふるさと納税をおこなう従業員の給与収入の確認作業の発生
- ふるさと納税の控除は年末調整ができないため、従業員に確定申告かワンストップ特例制度を利用してもらう
- 従業員に説明をおこなえるよう、ふるさと納税の控除の仕組みを理解しておく
- 年末調整クラウドシステムの導入による、年末調整業務の効率化をおこなう
ふるさと納税の年末調整:まとめ
年末調整ではふるさと納税の控除ができないため、個々の従業員に確定申告をおこなってもらう必要があります。
その際、確定申告の対応に慣れていない従業員からの問い合わせが予想されるため、年末調整の担当者もふるさと納税について知っておくと、スムーズな対応につながります。
なお、便利&おトクなふるさと納税機能がついた「オフィスステーション 年末調整」については、以下からご確認になれます。
「オフィスステーション 年末調整」を活用すると、ふるさと納税がおトクにおこなえるだけでなく、年末調整で大変な申告用紙の配付・回収の手間を大幅削減し、「従業員からの問い合わせ対応」をも効率化させ、「恐怖の年末調整」を「ラクラク年末調整」に変えることができます。
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