- ①産休・育休者の手続き業務による現場の負荷と時間的プレッシャー
- ②紙ベースでの年末調整による他部署応援の必要性と残業の発生
- ③自治体から届く住民税通知書の振り分け作業による業務負荷
- ①育休取得者との連絡がスマホやPCで可能となり、やり取りの負荷が軽減
- ②年末調整の他部署応援が不要となり、回収期間も3週間から1週間に短縮
- ③住民税通知書業務の作業量が約3分の1に削減、振り分け作業はほぼゼロに
女性が7割の会社で発生していた「労務手続きの問題」
まずは事業内容について教えてください。
花木さま : 当社は主に子ども服、子ども用品の企画・製造・販売をおこなっております。業種としては製造・小売業にあたり、国内主要百貨店を中心とした直営店と海外15の国と地域で展開しています。従業員はパートタイムやアルバイトを含めると約1,200名で、うち人事・労務業務を担うHR推進部は7名です。
少数精鋭で業務にあたっているんですね。皆さんの普段の仕事内容を教えてください。
花木さま : 現在、私は経理部全般のマネジメントを担当していますが、オフィスステーション導入当時は給与計算や社会保険の手続きを中心とした労務の課長を務めていました。
木田さま : 私は主に社会保険や雇用保険の手続きを担当しています。実務担当として従業員の声を聞きながら、花木とともにオフィスステーションの導入を進めました。
島田さま : 私はHR推進部で主任を務めており、主に社会保険の手続きや給与計算業務などの労務業務を担当しています。「住民税通知書オプション」の導入に携わりました。
本田さま : 私は、正社員の給与計算がメインの業務です。退職金や年金業務の実務も担当しています。私も島田とともに「住民税通知書オプション」の導入を進めてきました。
オフィスステーション導入のきっかけは何だったのでしょうか?
花木さま : オフィスステーションの導入を進めたのは2021年の春のことです。この背景には、2020年に特定の法人に対して電子申請が義務化されたことや、ハローワークから「電子化を進めてください」と声かけされていたことがありました。
木田さま :
部内においても、手続きや窓口に出向く手間や時間が問題として挙がっていました。当社は従業員の入れ替わりが多いこともありますが、女性が従業員の7割近くを占めますので、多いときは月に20名ほどの産休・育休者の手続きをおこなっています。これらに多くの時間が取られてしまい現場の負荷が高まっていました。また、書類をまとめて役所の窓口に持って行くため、時差が発生し、退職した従業員から「書類が手元に届かない」といった苦情も受け取っていました。
あとは、年末調整が紙ベースだったので、そこに対して部内はもちろん社内からも電子化を求める声は多かったです。
ソフト選定で重視したのは「業務のカバー範囲」「帳票数」「予算」、そして「スマホからの操作のしやすさ」
電子化にあたってさまざまなソフトが候補として挙がったかと思いますが、どのような点を比較しましたか?
木田さま :
まず、電子化したい部分をピンポイントで電子化できるかは確認しました。労務管理ソフトは電子化できる範囲がさまざまで、「労務手続きは電子化できるけれど年末調整は電子化できない」といったものも多かったです。
また、たとえ年末調整と労務手続きの両方を電子化できても、労務手続きで使いたい帳票が対応していないこともありました。これでは導入しても効率化を図れませんから、帳票数の多さは重視しました。あとは予算をオーバーしないように……と、消去法で比較していきました。
「業務のカバー範囲」「帳票数」「予算」の3点で比較・検討されたのですね。では、オフィスステーションを選定された決め手は何だったのでしょうか?
木田さま : 当社は従業員が多く、さまざまな年代の方がいます。そのため、「わかりやすさ」「使いやすさ」といった点はかなり重視しました。
花木さま : 当社の場合、必ずしも1人につき1台のPCがあるわけではありませんので、「タブレットやスマホで操作しやすいこと」は必須でした。
オフィスステーションも、労務手続きのほか、年末調整、給与明細など複数のシステムを導入いただいています。加えて、2025年1月から「住民税通知書オプション」も導入いただきました。導入はどのような流れで進められましたか?
木田さま :
はじめに、2021年5月から6月ころから「オフィスステーション 年末調整」の検討や導入準備を進め、年末には「オフィスステーション 給与明細」と「オフィスステーション 労務」を導入しました。「オフィスステーション 給与明細」については、年末調整後に導入しました。
さらに、2025年1月に「住民税通知書オプション」を導入しました。
大幅な業務負担軽減を実現した「住民税通知書オプション」
新たに導入いただいた「住民税通知書オプション」の導入の背景を教えてください。
島田さま : 約1,200名の従業員がいる中で、紙の通知書が各自治体から届くタイミングはまちまちです。通知書を誤りなく本人の手元へ届けるために、多くの人員、時間、労力がかかっていました。
紙ベースだったときに、最も大変だった作業は何でしたか?
島田さま : 自治体から届いた通知書を、店舗や各部署へ在籍者の通知書を割り振る作業に最も労力がかかっていたと認識しています。住民税通知書が届くタイミングは、春の人事異動に重なるため、その移動情報が間違いなく振り分けのリストに反映されているのか確認する必要がありました。さらに、女性が多い会社なので、産休・育休取得者に対しても細かくチェックする必要もあり、非常に手間がかかっていました。
本田さま : 具体的には、5月の頭から1カ月ほどかけて約100の自治体から通知が届きます。多い日は10〜15の自治体から30名分ほど届きます。給与に反映させるために6月の頭までには作業を完了させる必要がありましたので、1日2〜3時間ほど時間をかけて、通知書の開封や給与システムへの情報反映といった作業をおこない、1週間以内に完了させることを目標にしていました。5月はこれらの作業に追われるほか、各従業員に通知書を配付する作業にも時間がかかっていました。
導入時に気になった点や、懸念された点はありましたか?
本田さま : 個人間の情報が入れ違わないかと懸念していましたが、マニュアルを確認しながら進めていくと、情報が入れ違うことはない仕組になっていたので安心しました。
オフィスステーションの導入後、業務はどのように変わったのか?
オフィスステーションを導入し、業務はどのように変わりましたか? 感じられている効果などを教えてください。
木田さま :
当社では労務の手続きをまとめておこないますので、以前は従業員から「もっと早くしてほしい」という声が上がっていましたが、「オフィスステーション 労務」を導入してから書類のやり取りがリアルタイムでおこなえるようになりました。
また、育休取得者とのやり取りが郵送ではなくスマホやPCからできるようになったことで、連絡自体もスムーズになりました。やり取りの負荷は確実に減っていると思います。
花木さま :
年末調整についていえば、導入初年度は既存システムとの連携のためのデータ加工や、担当者が画面に慣れるまでに時間がかかりましたが、従業員が入力した数字の計算は自動でおこなわれるので、計算間違いはほとんどなくなり、その点はラクになりましたね。
また2年目以降は前年度の情報を引き継げるのと、従業員が慣れたのとで、大幅な効率化が図れています。これまで紙での年末調整は他部署の人員を応援として呼び、3週間かけておこなっていましたし、残業も発生していました。しかし、年末調整を電子化することで応援の人員が不要になり、残業もなくなっています。
木田さま : 年末調整の時期は通常業務が滞ることが慣例でしたが、電子化によってこのようなこともなくなりました。
花木さま : 店舗に紙を配付する年末調整では、店舗側で全員分の書類が揃うまで、回収ができませんでした。このため回収までに3週間は見ておく必要があったのです。でも、オフィスステーションを使えば従業員本人から直接情報を受け取れますから、早い場合だと1~2日で回収できます。随時内容をチェックし、作業の前倒しが可能になったのも効率化できた理由の一つだと思います。
木田さま : 紙の場合は「誰がどこまで確認したのか」という進捗管理も大変でしたが、オフィスステーションだとこれもわかりやすく、簡単です。一つひとつの業務変化は小さくても、それが積み重なることによって大幅に効率化できたのだと思います。
「住民税通知書オプション」の導入成果はいかがでしたか?
本田さま : 作業量が約3分の1になりました。以前は全部手作業でデータ入力していましたが、データをそのままCSVフォーマットに貼り付けて取り込めるので、時間短縮できています。従業員に通知を送るのも回収するのも、ボタンをクリックだけになり、やりとりの煩わしさからも解消されました。
島田さま : 私が関わっていたのはデータの振り分け作業のみですが、その作業だけを見れば、ほぼゼロになった印象です。
システム連携によるさらなる効率化
業務の効率化以外では、どのような場面でオフィスステーションの利便性を実感されていますか?
島田さま : 他社のシステムと連携できる点です。現在は他社のタレントマネジメントシステムと連携して使用していますが、以前は、従業員の情報に変更があるたびに複数のシステムを手作業で更新する必要があり、二重、三重の手間が発生していました。今はシステムが連携しているため、起点システムであるオフィスステーションに情報を入力するだけで、すべてのシステムに反映され作業効率がアップしました。
タレントマネジメントシステムとの棲み分けはどのように考えていますか?
島田さま : オフィスステーションは、従業員からの情報収集と情報蓄積という意味合いで使用しており、従業員情報やマイナンバーの一元管理ができるなどの利便性があります。一方、タレントマネジメントシステムは、従業員がどこの店舗にいて、誰が店長かなど、従業員情報を「見える化」するツールとして使っています。
「魅力的な会社」作りからより良いサービスへとつなげる
システムにかかわらず、HR業務を進めるうえで大事にされていること、今後、取り組んでいきたいことなどを教えてください。
木田さま : 私は従業員が心も体も健康に過ごせる「働きやすい環境」を作ることこそが人事・労務の仕事だと思っているので、システムやソフトにかかわらず、普段から「困ったときにすぐサポートできるような土台作り」は意識しています。
本田さま : 主な業務が給与関連なので、間違いがないように業務を遂行するよう心掛けています。また、書類を送付する際に、従業員の方とメッセージのやり取りをすることもありますので、今後は、オフィスステーションを従業員の方とつながるツールとしても活用していきたいと考えています。
島田さま : 何よりも信用性・信頼性が大事な部署だと思うので、正確であることを第一に大切にしています。また、店舗の方とは直接対面でお話しする機会が少ないですが、何かあったときに相談してもらえるような関係性を築きたいと思っています。距離はありながらも身近に感じてもらえるよう、日々の問い合わせにも親身に対応するよう心がけています。
花木さま :
人材不足は企業の多くが感じているところだと思いますが、私たちも同様です。労働市場で競争力を上げていくためにも「従業員にとって魅力的な会社」になるようにしなければならないと感じています。それが結局のところ、「いいサービス」にもつながります。
当社に入社する方は、年齢も幅広いですし、海外の方も多くいます。年齢が若い方が長く働くためには納得感のある賃金や、産休や育休が取りやすい仕組みなどが必要です。また海外の方は、家を借りにくいケースもあるので、会社が寮を提供するといったことを考えなければなりません。それぞれの方にあった働きやすい環境とは何かを考え、現在は規則などを整備しているところです。
本日は貴重なお話をありがとうございました!