女性が8割の会社で発生していた「労務手続きの問題」
まずは御社の事業内容について教えてください。
花木さま :
当社は主に子ども服、子ども用品の企画・製造・販売をおこなっております。業種としては製造・小売業にあたり、国内主要百貨店を中心とした直営店と海外15の国と地域で展開しています。従業員はパートタイムやアルバイトを含めると約1,100名で、うち人事部労務課は6名です。
少数精鋭で業務にあたっているんですね。お二人の普段の仕事を教えてください。
花木さま : 現在、私は労務・採用・教育など、人事全般を担当していますが、オフィスステーション導入当時は給与計算や社会保険の手続きを中心とした労務の課長を務めていました。
木田さま : 私は主に社会保険や雇用保険の手続きを担当しています。実務担当として従業員の声を聞きながら、花木とともにオフィスステーション導入を進めました。
お二人を中心にオフィスステーションの導入が進んとのことですが、導入のきっかけは何だったのでしょうか?
花木さま : オフィスステーションの導入を進めたのは2021年の春ごろです。この背景には、2020年に特定の法人に対して電子申請が義務化されたことや、ハローワークから「電子化を進めてください」と声かけされていたことがありました。
木田さま :
部内においても、手続きや窓口に出向く手間や時間が問題としてあがっていました。当社は従業員の入れ替わりが多いこともありますが、女性が従業員の8割ほどを占めますので、多いときは月に20名ほどの産休・育休者の手続きをおこなっています。これらに多くの時間が取られてしまい現場の疲弊につながっていました。また、書類をまとめて役所の窓口に持って行くため、時差が発生し、退職した従業員から「書類が手元に届かない」といった苦情も受け取っていました。
あとは、年末調整が紙ベースだったので、そこに対して部内はもちろん社内からも電子化を求める声は多かったです。
そのような経緯から「オフィスステーション 給与明細」「オフィスステーション 年末調整」「オフィスステーション 労務」を導入されたのですね。導入はどのような流れでしたか?
木田さま : 始めに、2021年の5月~6月ごろから「オフィスステーション 年末調整」の検討や導入準備を進め、その間に「オフィスステーション 労務」のトライアルを利用し、年末には「オフィスステーション 年末調整」と「オフィスステーション 労務」を導入しました。「オフィスステーション 給与明細」については年末調整後の導入です。
ソフト選定で重視したのは「業務のカバー範囲」「帳票数」「予算」、そして「スマホからの操作しやすさ」
電子化にあたってさまざまなソフトが候補として挙がったかと思いますが、どのような点を比較しましたか?
木田さま :
まず、電子化したい部分をピンポイントで電子化できるかは確認しました。労務管理ソフトは電子化の範囲がさまざまで、「労務手続きは電子化できるけれど年末調整は電子化できない」といったものも多かったです。
また、たとえ年末調整と労務手続きの両方を電子化できても、労務手続きで使いたい帳票が対応していないこともありました。これでは導入しても効率化を図れませんから、帳票数の多さは重視しました。あとは予算をオーバーしないように……、と消去法で比較していきましたね。
「業務のカバー範囲」「帳票数」「予算」の3点で比較・検討されたのですね。では、オフィスステーションを選定された決め手は何だったのでしょうか?
木田さま :
弊社は従業員が多く、さまざまな年代の方がいます。そのため、「分かりやすさ」「使いやすさ」といった点はかなり重視しました。実際に一部の部署にトライアルで画面を触ってもらい、使いこなせるかは確認しましたね。
また私自身もトライアルを使いましたが、労務の手続きや年末調整において「わからない」ところがなく、質問に答えていけばいつの間にか手続きが完了しているというのが印象的でした。
花木さま : 弊社の場合、必ずしも1店舗に1台のPCがあるわけではありませんので、「タブレットやスマホで操作しやすいこと」は必須でした。
オフィスステーションを選定し、稟議に進められたかと思いますが、労務の業務における電子化では、「なかなか上司の理解を得られない」という声も聞こえますが、そちらはどうでしたか?
木田さま : その難しさは特になかったです。年末調整や労務手続きが紙の場合の人件費や郵送費、紙代、印刷代などは計算できますので、オフィスステーションの導入でこれらの費用がどのように削減できるかを算出すると、理解を得られるのは明らかでした。
では、導入を決めた後はどうでしょうか? 難しかったところなどありますか?
花木さま :
まずは年末調整の電子化を従業員に知らせましたが、やはり従業員からは不安の声が上がっていました。そのため、9月末という早めのタイミングでマイページを発行し、画面を触ってもらって「難しくない」ということを理解してもらったり、「わからないことは何でも聞いてください」と窓口を解放したりしました。
オフィスステーションの導入後、業務はどのように変わったのか?
オフィスステーションを導入し、業務はどのように変わりましたか? 感じられている効果などを教えてください。
花木さま :
年末調整についていえば、導入初年度は既存システム連携のためのデータ加工や、担当者が画面に慣れるまでに時間がかかりましたが、従業員が入力した数字の計算は自動でおこなわれるので、計算間違いはほとんどなくなり、その点はラクになりましたね。
また2年目以降は前年度の情報を引き継げるのと、従業員が慣れたのとで、大幅な効率化が図れています。これまで紙での年末調整は他部署の人員を応援として呼び、3週間かけておこなっていましたし、残業も発生していました。しかし、年末調整を電子化することで応援の人員が不要になり、残業もなくなっています。
木田さま : 年末調整の時期は通常業務が滞ることが慣例でしたが、電子化によってこのようなこともなくなりました。
花木さま : 店舗に紙を配付する年末調整では、店舗で全員分の書類が揃うまで、回収ができませんでした。このため回収までに3週間は見ておく必要があったんです。でも、オフィスステーションだと従業員本人から直接情報を受け取れますから、早い場合だと1~2日で回収できるので、随時内容チェックし、作業の前倒しが可能になったのも効率化できた一つの理由だと思います。
木田さま : 紙の場合は「誰がどこまで確認したのか」という進捗管理も大変でしたが、オフィスステーションだとこれもわかりやすく、簡単です。
木田さま : 一つひとつの業務変化は小さくとも、それが積み重なることによって大幅に効率化できたという感じです。
従業員の方からの反応はどうでしたか?
木田さま : 「オフィスステーション 年末調整」は従業員側の画面が質問形式になっていること、入力サポートや自動計算の機能があることで、紙よりも分かりやすいという声は聞きます。紙からWebになることで年末調整自体に対する「難しい」という意識も薄くなってきているように感じますね。
そのようなご感想を聞けてうれしいです! では、「オフィスステーション 労務」についてはどうでしょうか?
花木さま : 「オフィスステーション 労務」についても、マイナポータル連携を含め、最初の設定の部分は慣れないこともあり、てこずりました。ただこの部分はシステムの良し悪しというより、行政の仕組みの問題ですので、オフィスステーションのカスタマーサポートで助けてもらうなどして乗り切りました。
「オフィスステーション 労務」を導入することで何か変化はありましたか?
木田さま :
先ほどのお話と重複しますが、当社では労務の手続きについてはまとめておこないますので、従業員から「もっと早くしてほしい」という声が上がっていました。しかし、「オフィスステーション 労務」を導入してから私自身が育児休暇を取りましたが、書類のやり取りがリアルタイムでおこなえ、「遅い」と感じることは全くなかったです。
また、育休取得者とのやり取りが郵送ではなくスマホやPCでおこなえることになったことで、連絡自体もスムーズになりました。やり取りへの負荷は確実に減っていると思います。
花木さま : 木田が育児休暇を取ったことで人事・労務部の人員は減りましたが、+1名の人員を補うのではなく、+0.5名で対応できました。これは効率化が進んだからこそだと考えています。デジタルの力により、部内の業務負荷を上げることなく、「少数精鋭」を実現できています
すでに電子化していた給与明細をオフィスステーションに移行した理由
「オフィスステーション 給与明細」についても導入いただきましたが、導入前から給与明細は電子化されていたと伺いました。乗り換えされた理由は何でしょうか?
花木さま : まず、もともともの給与明細ソフトは源泉徴収票に対応しておらず、紙で発行しなければならなかったというのが1つの理由です。
せっかく年末調整を電子化したにもかかわらず、「紙」の作業が残ってしまったんですね。
花木さま : はい。それに加え、やはりバラバラのソフトを使うのではなく、1つの画面に集約させた方が従業員も使いやすいだろうという考えがありました。デジタルによる効率化と従業員の使いやすさを突き詰めると、Web給与明細についてもオフィスステーションを使うのがいいだろう、と。
業務効率化の先で実現したいこと
お話を伺うとソフト選定で「従業員の使いやすさ」という点を重視されるなど、「従業員の働きやすさ」をとても大切にされているのが伝わってきます。
木田さま : 私は従業員が心も体も健康に過ごせる「働きやすい環境」を作ることこそが人事・労務の仕事だと思っているので、システムやソフトにかかわらず、普段から「困ったときにすぐサポートできるような土台作り」は意識しています。
花木さま :
やはり従業員に安心して働いてもらうことで、お客様に対してよいサービスが提供できると考えています。そして安心して働いてもらうには、従業員と、私たち人事・労務の距離が近くないといけませんから、対面・オンラインともにコミュニケーションは増やしています。
オフィスステーションでも従業員に対して情報発信ができるので、利用しています。「今月は〇〇の強化月間だよ」とか、「お客様からこういう声が届いています」というような情報を含め、週2回ぐらいニュースを配信しています。木田は「編集後記」のような感じで日常を綴ったり。
木田さま : 私自身もともと店舗で働いており、そのような情報発信に親しみを感じることで問い合わせなどの電話がしやすくなっていたので(笑)、その経験からですね。
ではシステムにかかわらず、人事・労務が現在取り組まれていることや、今後やっていきたいことはありますか?
花木さま :
人材不足は企業の多くが感じているところだと思いますが、私たちも同様です。先ほどのお話とも重複しますが、労働市場で競争力を上げていくためにも「スタッフたちにとって魅力的な会社」になるようにしなければならないと感じています。それが結局のところ、「いいサービス」にもつながります。
当社に入社する方は、年齢も幅広いですし、海外の方も多くいます。年齢が若い方が長く働くためには納得感のある賃金や、産休や育休が取りやすい仕組みなどが必要です。また海外の方は、家を借りにくいケースもあるので、会社が寮を提供するといったことを考えなければなりません。それぞれの方にあった働きやすい環境とは何かを考え、現在は規則などを整備しているところです。
本日は貴重なお話をありがとうございました!