- ①約2,300名の紙ベースでの年末調整のチェックにかかる膨大な工数
- ②職員への1日80件以上の電話・窓口対応が業務を圧迫
- ③年末調整時期の望まない残業発生による労働生産性の低下
- ①担当者を4名体制から3名体制に削減し、業務平準化を実現
- ②問い合わせ対応業務からの解放による労働生産性の向上
- ③職員が働き方を選べる職場環境の基盤構築
約2,300名の年末調整を4名で担当。毎日80件超の電話・窓口対応に追われる日々
今回は「オフィスステーション年末調整BPO」導入インタビューのご協力をありがとうございます。はじめに、総務部人事室の業務内容について教えてください。
栗林さま : 人事室の給与・厚生業務は10名体制で対応しています。給与担当と厚生担当、5名ずつに分かれていますが、業務はお互いに協力し合いながら進めています。オフィスステーション導入前は、約2,300名の全職員の年末調整を4名体制、2人1組で相互チェックをしながら進めていました。

導入前の年末調整業務の流れについて詳細を教えていただけますか?
栗林さま : 完全に紙ベースでのやり取りでした。まず、人事室で各申告書を印刷し、窓開封筒に封入のうえ、全職員に配付します。手書きの申告書を回収した後は、記載内容を2人体制でチェックしてシステムに登録し、給与に反映させるという流れでした。
森下さま : 収入と所得を混同して書かれていたり、空白で提出されたりするケースも多く、その都度、職員に連絡を取って正しい内容を確認する作業が発生していました。1日に80件以上の電話・窓口対応をすることもあり、まるでコールセンターのような状況だったのです。
業務で最も大変だった部分はどういったところでしょうか?
栗林さま : 紙ベースのため申告内容の計算確認は、一件一件、電卓で検算する必要がありました。誤りのないよう慎重に進めるため、非常に時間がかかり、担当者の大きな負担となっていました。
赤星さま : 進捗状況や未提出者等についても、名簿にチェックをつけながら電話で確認するという、アナログベースの作業だったので大変でした。
職員が働きやすい職場環境の実現を目指し、デジタル化+BPOを導入
BPO導入を検討されたきっかけを教えてください。
栗林さま : 市役所全体で取り組んでいる、「働き方改革の推進」がきっかけです。職員が働きやすい環境をつくる取り組みの一環として、年末調整業務の見直しに着手しました。
業務効率化の方法は複数ありますが、シンプルにシステムを導入する「デジタル化」ではなく、デジタル化+BPOという形を選択された理由を教えてください。
栗林さま : 単にシステムを導入しただけでは、従業員からの申告方法が変わっても、私たちがおこなう「内容確認」「計算チェック」「差し戻し対応」といった最も時間のかかる業務はそのまま残ってしまいます。そこをさらに効率化するために、チェック業務や確認作業そのものをプロにお任せできるBPOをあわせて検討しました。また、行政として、個人情報の取り扱いは最優先事項であり、効率化とセキュリティ面を同時に満たすためには、クラウド+BPOという形が最適であると判断しました。
セキュリティ面で考慮されたことはありますか?
栗林さま : 数千名規模での年末調整の受託実績、ISO 27001認証などの取得、サイバーセキュリティ対策やデータの暗号化技術など、職員の個人情報を守るための条件を厳選し、これらをすべてクリアした事業者に対し指名競争入札をおこない、価格面で最も有利な提案をした事業者を選定しました。
実際に導入してみて、どのような効果を感じられましたか?
栗林さま : 例年、年末調整業務については4名体制で進めていましたが、導入後は3名体制で取り組むことができました。初年度でしたので、業務フローの構築やデータ連携の整理などに時間をとられていたにもかかわらず、人員を減らすことができましたので、今後、さらなる効率化を期待しています。
森下さま : 問い合わせが減少し、チェック業務がなくなったことで、物理的な業務負荷が大幅に減りました。また、毎年、何百枚、何千枚という書類を一枚一枚めくってチェックする作業からも解放され、精神的な負担が軽減されました。
BPOを活用して業務フローを再構築し、システム導入だけでは実現できない効率化・平準化を実現
導入のプロセスはいかがでしたか?
栗林さま : スムーズに導入できるか不安もありましたが、導入前の説明会で、検査項目の詳細や検査の流れをしっかり説明いただき、これまでサポートされてきた多数の実績をもとにした検査マニュアルも提供いただけたので、私たちがどう取り組めばよいか明確になりました。その上で、今までおこなってきた事務のどの部分にBPOを導入するか、どのように運用していくかなど、スケジュールと併せて、年末調整業務に精通した専門スタッフの方と協議しながら進めていきました。プロの視点から業務の平準化についてもアドバイスいただけたのは非常に有益でした。その結果、本市にとって最適な業務フローを構築できたと思います。
赤星さま : 運用がスタートしてからも、本市のやり方で「標準的」と思っていた部分が意外にそうではないとわかったり、例外的なパターンが後から発覚したり、実際にチェック業務が進んでいく中でさまざまな課題が出てきました。しかし、その都度「このようなやり方はどうですか?」とすぐに的確な解決策を提案していただけたので、とてもありがたかったです。
BPO導入による業務フロー再構築のメリットはどのようなところにあると思われますか?
赤星さま : 本市独自の業務フローや例外的なケースは、単純にシステムを導入するだけでは対応が難しかったと思います。BPOも同時に導入していたことで、業務フロー再構築の段階から年末調整業務に精通した専門スタッフの方と相談しながら、一つ一つの課題を解決していくことができました。人と人とのやり取りの中で、イレギュラーな処理についても具体的に話し合いながら最適解を見つけていけるのは、「オフィスステーション 年末調整BPO」ならではのメリットだと思います。
栗林さま : 平準化だけでなく、業務の効率化も実現し、本来の業務に集中できる環境が整ったことも大きなメリットです。
システムの使いやすさについてはいかがでしたか?
栗林さま : パスワードなど、ログイン方法の問い合わせはありましたが、ログインしてからの申告については、直感的に入力を進めることができていたと思います。職員がアクセスする年末調整のシステム画面では、入力項目の一つ一つにガイドが用意されていましたので、「ログインさえできれば、その後の進行はスムーズでわかりやすい」という声もありました。
赤星さま : マニュアルも充実していましたし、こちらが自由に加工できるところもありましたので、それらを活用して、今までに問い合わせが多かった内容や、質問がありそうなところをシステムやマニュアルの中に落とし込んでいきました。その結果、使い方や年末調整のやり方の問い合わせは確実に減らすことができたと思います。
デジタル化+BPOで、職員が働き方を選べる業務環境の実現へ
デジタル化とBPO導入によって働き方に変化がありましたか。
栗林さま : 本市では、2019年10月からコアタイムのない完全フレックス制を導入し、職員が午前8時から午後8時まで自由に働く時間を選択できるようにしています。デジタル化とBPOの導入によって、年末調整の時期に問い合わせ対応のために職員が常駐する必要がなくなり、時間にしばられることなく、職員自身が柔軟な働き方を選ぶことができるようになりました。引き続き、子育て・介護をしている職員も、安心して働けるような職場環境を整えていきたいと思います。
最後に、オフィスステーション導入を振り返ってのご感想をお聞かせください。
栗林さま : 職員からは申告がとてもやりやすかったという声を多く聞いており、人事室の業務としても今年度以降、より効果を実感できると思っています。担当の方に丁寧に対応いただき、こちらの要望にも柔軟に対応いただけたおかげで、業務を円滑に進めることができました。
森下さま : 初年度はこれまでのやり方を大幅に変更しなければならず大変な点も多々ありましたが、導入により申請する側・処理する側の双方にとって利便性が高まったと思います。
赤星さま : 導入初年度の課題も含めて、今後に向けた業務整理ができたと感じています。今年度以降、さらなる効率化が期待できそうです。
本日は貴重なお話をありがとうございました!