- ①差し戻しや修正作業による年末調整の業務負荷
- ②年末調整繁忙期における長時間残業による労働環境の悪化
- ③「絶対にミスできない」という担当者の精神的な負担
- ①業務工数を約3分の1に削減、残業時間もほぼゼロに
- ②差し戻しやチェック作業から解放され、精神的負担が大幅に軽減
- ③デジタル化への道筋を確立、今後の業務改善への展望が開ける
年末調整は差し戻しと修正作業の連続で残業が発生
今回は「オフィスステーション 年末調整BPO」(以下、「BPO」)導入インタビューにご協力いただき、誠にありがとうございます。はじめに、事業内容と組織体制について教えてください。
鹿子木さま : 弊社は給食委託会社で、従業員は180名ほどです。管理部の人事総務課は私と海老沢を含めて3名で運営しており、給与計算、リクルート、入退社手続き、社会保険など、人事に関することは全般的に対応しています。もう1名は総務業務中心の為、私と海老沢が人事業務中心といった状況です。

業務分担はどのようになっているのでしょうか?
鹿子木さま : 役割分担はありますが、複雑な業務については私と海老沢で手分けをして対応することが多いですね。どちらかが欠けても補えるような体制を築いています。
日々の業務で、特に注力されている点はありますか?
鹿子木さま : 気持ちよく働いていただけるよう、従業員の方への対応はなるべく丁寧に心がけています。また、給料など金銭面に関わる業務を担当しているので、「絶対にミスをしない」ということを最も大切にして業務に当たっています。
海老沢さま : 当社には17の事業所があり、直接お会いしてやりとりする機会が限られているので、従業員が問い合わせしやすい環境を作ることを心がけています。
BPOを導入される前の状況について、詳しく教えてください。
海老沢さま : 導入前は書類を集める段階からチェックが終わるまで、2~3週間かかっていました。従業員が忙しい時期ということもあり、なかなか申告書が集まらなかったのが1つの要因です。また、普段は書かない書類であるため、正しく記入できていない箇所も多く、誤りを見つけて差し戻し・訂正する作業にはかなりの時間を要しました。
鹿子木さま : 近年は特に法改正が多いため、多くのミスが発生していたほか、同じ内容についての質問が多く、やり取りに非常に時間がかかっていました。住宅控除などは未記入の用紙と控除の書類を渡されることもありましたが、時間がないため差し戻しできず、実質的に約180名の年末調整書類について、こちらで作成しているような状態でした。
当時の残業時間はどの程度でしたか?
鹿子木さま : ほかの業務もある中で年末調整業務が重なると、本当に大変な状況でした。年末調整時期の2~3週間は、日にもよりますが1日1~2時間の残業が発生していたと思います。年末調整業務は従業員の給与に関係する、ミスが許されない部分ですので、非常にストレスを感じながら業務を進めていました。
単純計算ですが、3週間で約30時間の残業が発生していたイメージなのですね。年末調整業務で最も大変だったのはどの部分でしたか?
海老沢さま : 内容のチェックと修正作業です。誤っている点について、電話だと内容がうまく伝わらないこともあり、最終的にこちらで修正することも多くありました。
デジタル化に加え、差し戻し作業そのものをなくすBPOという選択
BPO導入を検討されたきっかけを教えてください。
鹿子木さま : 親会社である東京ケータリング株式会社の人事部長から、サービスの導入を勧められたのがきっかけです。最初は「高齢者が多いから、スマホでの操作は難しいのでは」と心配していましたが、「1年目さえ乗り越えれば、あとは楽になる」「書類チェックを外注でき、従業員からの問い合わせはオフィスステーション側で受けてくれる」とアドバイスをいただき、導入に踏み切りました。
業務効率化にあたって、BPO以外の手段も検討されましたか?
鹿子木さま : 親会社からの推薦ということもあり、特に比較検討はしていません。社労士へ委託しても、従業員とのやりとりは私たちが対応する必要があります。また、システムを導入しても差し戻し作業は残ってしまうため、その作業そのものを外部委託できるBPOは最適な判断だったと思います。
稟議申請ではどのような点を強調されましたか?
鹿子木さま : 年末になると残業が発生するため人件費削減につながることや労働環境の改善、そして私たち素人よりもプロが間に入ることで、間違いなく正確に年末調整ができるという点を社長に説明しました。また、給与明細の電子化と合わせて、コスト削減と業務効率化を図ることができる点も強調しました。
業務工数を3分の1に削減、精神的負担も劇的に改善
実際に導入してみて、どのような効果を感じられましたか?
鹿子木さま : これまで年末調整の業務は複数名で担当していましたが、今回は海老沢がほぼ1人で対応できて、業務にかける時間は格段に減りました。初年度ということもあり、使い方に関する問い合わせが多かったにもかかわらず、業務時間は3分の1程度になったと実感しています。残業もほとんどありませんでした。
業務の内容に変化がありましたか?
海老沢さま : そもそもチェック作業をしなくて済むようになり、エラーがあった箇所だけピンポイントで連絡すればよいようになりました。また、以前は「絶対にミスをしてはいけない」とプレッシャーを抱えながら毎日仕事をしていましたので、プロにお任せできるようになって精神的に楽になりました。そこが一番大きな変化ですね。
鹿子木さま : 業務が圧迫されると、どうしてもストレスが多くなりますが、今年は問合わせも操作についての内容が中心で切羽詰まった感じがなく、気持ち的に余裕を持って対応できました。
従業員のデジタル化への対応も予想以上にスムーズに
デジタル化への不安はありませんでしたか?
鹿子木さま : 弊社は数年前まで現場とメールもしていないような、本当にアナログな対応をおこなっていました。ここ数年で徐々にデジタル化を進めている状況ですので、正直、年末調整のデジタル化には不安がありましたが、意外とスムーズにできてしまったという印象です。
導入時の準備で工夫された点はありますか?
鹿子木さま : 「こういうことを始めます」という通達は、なるべく早めに出すようにしました。説明文も、一般的なマニュアルの言葉ではなく、なるべくわかりやすい言葉で書くことを心がけました。また、各事業所の所長にしっかり説明して、事業所内で困った人がいたら所長が教えるという体制を作りました。
実際の問い合わせ件数はいかがでしたか?
海老沢さま : 180名のうち、直接問い合わせがあったのは20件程度でした。事業所内で解決できた案件も多かったと思います。
導入時に心配だった点はありますか?
鹿子木さま :
最初のデータを入れるときは少しドキドキしました。こちらが間違えたら全員に影響が出てしまうと思って。フォーマットに合わなくて苦労したこともありましたが、サポートデスクや担当の方にお電話して、教えていただきながらなんとかできました。
サポートの方や担当の方には、いつも分からないことに対して丁寧に教えていただいています。細かい問い合わせも代わりに対応していただけるので、助かっていますし、プロの方なので間違いなく答えていただけるという安心感があります。
年末調整のBPOと共に、給与明細の電子化も同時に進められたとのことですが。
鹿子木さま : はい。BPOと合わせて給与明細の電子化も進めました。これにより、コスト削減と業務効率化を総合的に図ることができました。また従業員が、先に導入したWeb給与明細でデジタル操作に慣れたことにより、年末調整の電子化がスムーズに進んだ部分もあると思います。
BPOをきっかけに、さらなるデジタル化への道筋も見えてきた
年末調整が楽になったことで、今後取り組みたいことはありますか?
鹿子木さま : 現在アナログでやっていることをデジタル化できたらと思っています。雇用契約書や入退社手続きの漏れが発生しないようなシステムにも興味があります。社会的な背景を考えても、今後は入退社が多く発生すると思いますので、入退社手続きの完全なチェック体制を作りたいと考えています。
BPO導入がデジタル化のきっかけになったということでしょうか?
鹿子木さま : そうですね。BPOで年末調整が楽になっただけでなく、従業員の方も「意外とデジタル操作ができる」ということがわかりました。これをきっかけに、ほかの業務もデジタル化していけるのではないかという確信が持てるようになりました。
最後に、今回のBPO導入を振り返って一言いただけますか
海老沢さま : 業務効率が大幅に改善され、精神的な負担も軽減されました。従業員の方との対応も、以前よりも丁寧にできるようになったと思います。
鹿子木さま : 親会社の推薦で始めましたが、本当に導入して良かったです。デジタル化への道筋も見えてきたので、今後も段階的に業務改善を進めていきたいと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!